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黒の他人
【ラブコメ 官能小説】

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黒の他人<前編>-14

気がつくと俺はまた加奈に唇を重ねていた。
吸い付くような激しいディープキス。
掻き回すような舌の動きをけなげに受け入れるその姿が、いっそう俺の興奮を掻き立てる。

「あっ んんっ 龍二さんっ」

加奈の両手が背中にまわる。
かわりに俺の右手が、自然とその濡れた股間へと伸びていった。

「すげぇ濡れてるじゃねぇか?」

「やっ い、言わないでくださいっ」

「言われるのは嫌いか?」

「嫌いとかじゃなくてっ んっ だって…… あっ やっ は、恥ずかしいっ」

下着から染み出た愛液が指に絡みつく。
柔らかな肉付きのいい陰唇が、少しずつ開きかけているのがわかった。

「下着…… また汚しちまったな?」

「やぁっ だからそういうこと言わないでって…… はぁっ……」

「今度は俺がお詫びに買ってやらなきゃな?」

「んっ ばかぁ…… 龍二さんってホント意地悪ですっ」

俺は笑いながら加奈の下着をゆっくりと脱がせはじめた。
そっと腰を上げる加奈。
抗う様子は微塵もみあたらない。

薄い陰毛を掻き分け、手探りでまたそこに指を這わす。
気がつくと俺は、さもあたりまえのように加奈の上へと覆い被さっていた。

「なぁ?恐くないのか?」

「んっ こ、恐い?龍二さんがですか?」

「いや、俺がっつうか…… 結局またこういう事になっちまって」

「あっ んんっ そんなことっ あぁっ だ、だって……」

「だって?」

「だ、だって龍二さん…… んっ 優しいから……」

俺が優しい?何を言ってるんだコイツは?
酔っぱらったところを連れ去られて、処女まで奪われちまったんだぞ?
善意で謝罪に来たのに、またも飲まされこうして今にもやられそうになってんだぞ?
どこの世界に行けばそんな男が優しいなんて評価されるってんだ。

「あのなぁ…… 世の中にはもっと優しい男は……」

「んっ 知りませんよ?私、箱入りですからっ」

「てめっ、そんなこと言ってるから簡単に……」

「騙しますか?龍二さんは私を……騙しているんですか?」

たたみ掛けるような加奈の問いかけに思わず絶句する俺。
合意とは言い難い状況だけれど、
騙しているかと言われればもちろん──そんなつもりは無い。

「どんなに乱暴な言葉使いされても…… わかるんです」

「あぁ?何がだよ?」

「だから…… 龍二さんは優しいってことがですよ」

「けっ!勝手に言ってろ!」

馬鹿でかい図体と生まれついての低い声、おまけにちょっと強面な俺が優しいだと?
そんな事言われたのは、遠い昔にはじめて女を抱いた時以来だ。

どうせ自分の侵した過ちを正当化するための言い訳だろ?
どうせ納得して気が済んだらアイツみたいにオマエも目の前から消えるんだろ?
これだから女は──嫌いなんだ。

思いがけず古傷が胸を刺す。忘れかけてた記憶が心を掻き乱した。
俺はまるでそんな昔の記憶から逃れるように、そっと陰茎を加奈の中へと沈めていった。


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