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警鐘
【その他 官能小説】

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二の交流-2

『僕から提案があるんだ』

 いつもと雰囲気のちがうそんなフレンドメールが、ある日、ノブナガさんから送られてきた。

『どんな提案ですか?』

 そのあとに送信されてきたフレンドメールを見て、私は驚いた。

『これが僕のメールアドレスです』というメッセージの下に、携帯電話のメールアドレスみたいな英数字が並んでいる。私は戸惑った。

『ごめんなさい。ほんとうのメールは無理です』

 その内容で送信して、ノブナガさんからの反応を待った。

 たくさん待った。

 ずっと待ちつづけた。

 けれども彼からフレンドメールが来ることはなかった。交流サイトをのぞいても、彼からのコメントは何日も途絶えたまま。
 これはおかしいと思った私は、ノブナガさんの掲示板を訪ねてみた。しかし彼の掲示板はすでに閉鎖されていた。

 あとで調べてわかったのは、あの日、彼が携帯電話のメールアドレスを私に知らせたことは、サイト内で禁止されている行為だったということ。
 それによって強制的に退会させられ、もしかするともう二度と戻って来られないかもしれないということだった。

どうすればいいの。彼のメールアドレスは手帳に控えてあるけど、ネットの外で関係を持つことはできない。だけど彼と交流できる唯一の方法は、メールしかない──。

 私は悩んでいた。交流サイトの退会と引き換えに、彼が私に伝えたかったことがあるはず。
 彼の思いに応えたい気持ちが、私の胸をふくらませていった。
 私は手帳に記したメモを携帯電話に入力して、祈る思いで送信ボタンを押した。

送信、しちゃった──。

 こうして、オリオンとノブナガではなく、私と彼のメールだけの交際がはじまった。

『僕の名前は千石寛。センゴクヒロシと読みます。千石と戦国をかけて、戦国武将の織田信長からハンドルネームを貰ったわけです』

 歴史にはあまり詳しくない私でも、そのあたりの名前なら知っていたので納得できた。
 対する私も三月里緒という本名を明かして、オリオンのハンドルネームの由来も付け足した。

 そしてお互いの素性も少しだけ話した。
 彼には離婚歴があり、別れた奥さんとのあいだに子どもができなかったこと。
 私には夫と子どもがいるけれど、セックスレスがずっとつづいていること。
 それから、お互い住んでいる場所が遠く離れているということ。
 会いたくても会えない距離が、叶わないセックスへの妄想をふくらませていること。
 私は彼を求めていた。


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