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高校デビュー
【学園物 官能小説】

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第四話(行為なし)-6

「少しぐらい、甘えてくれてもいいじゃないか…」

「それで、大谷くんはこれからどうするの?」

「早退します」

   ***

念のため動画を再生してみたが、たしかにそれはこの間僕と香澄さんがセックスした時の映像だった。モザイクは僕の顔にだけかかっていて、香澄さんには顔どころか秘部(繋がってる部分も含めて)にすらかかっていなかった。
『彼氏が手がけた』というタイトルの動画もあるので、一般の人、および僕の高校の生徒たちは僕がやったのだと思っているのだろう。
だがもちろん僕はそんなことをした覚えはない。
つまり、

「っ!盗撮されてたってのかよ…」

あの日偶然盗撮されてたって可能性は低い。恐らくはもっと前から、香澄さんの私生活を覗き見していたクソッタレがいる。
スマフォで検索をかけて香澄さんの所属事務所とその住所を確認し、ようやくそこにたどり着くことができた。

「………」

マスコミが大勢いると思っていたが、それらしき車はあってもマスコミの姿は見えなかった。
その代わり事務所の前には警備員が二人立っている。

「香澄さんの彼氏って言ったところで、信じてはくれねぇよな…」

スマフォのワンセグ機能でニュース番組をチェックしてみる。

「っ!?」

香澄さんが映っていた。とはいえ生の映像ではなく、今朝の映像らしいが。

『私、桃園香澄は、今日をもって、アイドルを…引退します』

そこに映るのはいつもの凛とした彼女ではなく、悲しそうな、絶望の淵に立たされた人間のような表情をしていた。

「香澄さん…!」

これがリアル映像じゃないということは、もしかしたらもう事務所にはいないのかもしれない。
電話にもメールにも応答がないのでわからないが、残る当ては香澄さんの自宅ぐらいだ。実家の住所も教えてもらっていない。

「頼むから変なことは考えないでくれよっ…!」

全速力で走り、香澄さんの家を目指す。
目指していると、スマフォがメールを受信した。
送ってきたのは香澄さんではなく、僕の兄貴である直也兄さん。

『お前の彼女が来てる』

「っ!?」

そういえば、香澄さんは僕の住所を知っていたっけ。

『すぐに向かう』

そう返信して行き先を変更した。


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