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【青春 恋愛小説】

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9-1

鉄弥が漕ぎ、暁生が同乗する形。

パッと見は、部活帰りの野球少年でしかない。




時刻は夕方6時過ぎ。

学生も多くが帰宅の途に着く時間だ。




暁生の家の立地から、下馬〜松陰のルートに決めた。




「てっちゃん....これやっぱりちょっと臭いね....」

「黙っとけ!ちゃんと洗ってるわ!」

「でね、確認だけど。下馬の木下宅から松陰神社の方の高畠宅ね。ルートは覚えてるから後ろからナビるよ。あと、お巡りに見付かったら逃げたりしないこと」

「うす」

「で、家に近付いたら俺が携帯の電源入れて、決行。通行人を確認して、大丈夫そうだったらポストに投函。道路沿いに立ってればチャリでそのまま投函出来るんだけどね」

「うす。あ、例えばそのタイミングで家から誰か出てきたら?」

「投函の瞬間だったら、学校で拾ったから届けたとかね。投函前のタイミングだったら適当にお見舞いに来たとか言ってやり過ごそう。自分の名前も適当に言ってさ。で、いなくなったらやり直し」

「うす」

「あ、次右折ね」

「うす」

「よし....やるか....」




暁生は予め用意していた新品の布手袋をはめ、木下の携帯を操作する。

ブックマークにFBがあったので、作りたてのコラを添付し、投稿。




「よかった。通信出来るか心配だったけど、利用停止になってなかったよ。無事投稿完了、と」

「マジか。楽勝だな」

「しかもこいつしっかりTwitterもmixiも同期してやがるから、手間が省けたわ。リストからまとめて一斉送信してやったよ」

「じゃ今頃....」

「がっつり広がってんだろうな」

「.....鳥肌立ってきたわ....」

「あ、次左折。すぐ木下の家のはず」

「よっしゃ」




通りを左折する。木下の家はすぐ見付かった。

時間が時間なだけに通行人の量は心配だったが、思いの外あっさり投函を済ませて野球少年達は再び自転車を走らせた。





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