鳴海の大魔神-5
路地から関谷の闘いを見つめていた若者が飛び出してきた。コックコート姿だ。若者は関谷に駆け寄っていく。紗綾とあおいも関谷のもとに走った。
｢大魔神さん。あなたは鳴海の大魔神さんですね｣
｢そうとも呼ばれているが…。君は誰だ？｣
｢幸楽という中華料理屋で働いている村田桔平と申します。あなたを捜していたんです｣
｢きっぺいちゃんか…。いい名前だ｣
｢関谷さん、その男は死んだんじゃ？｣
｢この男は死んではいない。死んだのはフォークだけだ｣
関谷は銀食器を男が倒れている脇に投げ捨てた。先がぐにゃりと変形した銀色のフォークは、血溜まりの中に転がり、鈍い光を放っていた。