投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

生徒会へようこそ
【その他 その他小説】

生徒会へようこその最初へ 生徒会へようこそ 78 生徒会へようこそ 80 生徒会へようこその最後へ

生徒会へようこそ【MISSION'5'生徒会を再建せよ!】-4

「分かってる。香住は悪くねぇ。悪くねぇよ」

オッさんは一言一言を絞り出しているようだった。
ドクッドクッと僕の心臓は早く動き始めた。

「悪くねぇけど…放っておけば、何も無かったんだよ」

一呼吸ごとに僕の体は揺さぶられる。
揺らされてばっかだな、僕。

「関係無いお前らに…こんなとこ…見せたくなかったのに」

オッさんのその言葉に、僕は急に罪悪感に襲われて、心が苦しくなった。
オッさん、知ってたんだ。最初から…。きっとキミさんと小鞠さんも。
名探偵だなんて思っていた自分が馬鹿みたい。
真相を解き明かすのに必死で、分かった後もどこか他人事のように思っていた。
自分の考えひけらかして、何をしたかったんだ。
内臓がぎゅうって捕まれたように痛かった。

「ごっ…ごめんなさい、オッさん。オッさんが怒るのも無理は…」

僕はそれ以上言えなかった。
オッさん……泣いてる。
ハッとして僕は口をつぐんだ。
ただ怒ってるだけだと思った。だから謝らなきゃと…。
だけどそんな簡単なことじゃなかったんだ。
ただの怒りで涙は零れない。
きっと、オッさんと早羽さんには前に大きな何かがあったんだ。掘り返されたくない何かが…。
僕らがこのことを調べようとしたのを、オッさんは何度も止めてた。それなのに僕は、どうしてオッさんが止めるのか考えもしなかった。
触れてはいけないパンドラの箱を僕らは掘り起こしてしまった。

「………くそ」

チッと舌打ちをするとオッさんは乱暴に多目的室を出て行ってしまった。

「オッくん!」

すかさず小鞠さんが後を追う。
キミさんはただ黙って立っているだけの僕らに視線を送ると、残念そうに目を伏せそっとその場を後にした。

「……優」

呆気に取られていた宝さんは目を白黒させてすがるように僕を見上げた。僕と同じでこんなことになるなんて思ってもみなかったようだ。
喧騒が静まった後には無力な僕らと、冷たい机に横たわる、持ち主を失った銀色の鍵だけが残った。





生徒会へようこその最初へ 生徒会へようこそ 78 生徒会へようこそ 80 生徒会へようこその最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前