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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第二話-9

探偵同好会の部室があるのは、付属棟の三階。そして神様がいるはずのパソコン室は、付属棟の一階にある。
「ちょっと神様とやらに会ってくる。相手頼む」
紅葉は無言でこくりと頷き、神様とメールのやり取りを再開した。
部室を飛び出し、廊下を全速力で走って階段を目指す。
日曜日ということもあってか、棟内には学生どころか教師の姿すらない。
「待ってろ、神様!」
例え本当に厚意で視力やヘソを奪ったのだとしても、その力をいつ悪用されてもおかしくはない。
階段を駆け下り一階へ。パソコン室はすぐそこだ。
「神様……!」
その名を叫びながらパソコン室の扉を開く。
「はぁ、はぁ……誰も、いない……?」
胸ポケットから携帯電話を取り出し(ちなみに校則違反)、紅葉に連絡をとる。
「神様は?」
『……まだ返信はある』
「パソコン室は無人だ。それどころか起動してるパソコンすらないぞ」
『……でも、たしかにパソコン室から送信されてる』
どういうことだ?ここに神様がいるんじゃなかったのか?
『遠隔で操作することは、できる……パソコンが、起動していれば……』
「だからどのパソコンも起動してないっての」
『……じゃあ、わからない』
紅葉はぶつっと一方的に通話を切ってしまった。
「調べてみるしかない、かな」
俺は1つずつ、椅子に手を当てて温かさを調べた。ついさっきまで誰かが座っていたなら、その温もりが残っているはずだ。
「……あったかい」
10番目に調べた椅子に、僅かながら温もりが残っていた。
「ここに神様が座っていたかもしれねぇな」
椅子に座り、PCを起動させる。
とそこへ、ガラリと扉を開いて女子生徒が入ってきた。
「あの、授業以外でこの部屋を使っていいのは、パソコン部だけなんですけど」
「あ、ああ。悪い。ちょっと調べものがあったんだ。家にPCがなくてな」
「あの、探偵部の神代先輩……ですよね?」
「ああ。まだ同好会だけどな」
女子生徒は俺の横にきて、PCのモニターを見つめた。
「あ、ボク、付属3年の雲木(くもき)です。一応、パソコン部の部長をしています」
「おっ、そいつはよかった。実は俺、パソコンって苦手でさ。代わりに調べてくれよ」
俺は椅子から立ち上がり、雲木に座るよう促した。


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