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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第一話-2

俺のことを睨んでくる女生徒は本校3年生の琴梨愛理(ことなし・あいり)と名乗り、彼女が支えている女生徒は付属2年生の在花(ありか)という妹だと教えてくれた。
「それで依頼というのは、もしかして在花ちゃんのことですか?」
「気安くちゃん付けで呼ぶな!」
「ご、ごめんなさいっ」
愛理先輩に怒鳴られた。うわこえー。まさかシスコンってやつ?
「えぇと、琴梨さん。どうかした?」
在花ちゃん、ではなく琴梨さんは琴梨先輩に支えられたままゆっくりと顔を上げた。
「見え、ないんです……」
「見えない?何が?」
「在花は失明しているんだ」
「失明……大変ですね。それで、依頼っていうのは?」
「在花の視力を取り戻してほしい」
「…………は?」
聞き間違いだろうか。琴梨先輩、今何て言った?
「ごめんなさい、もう一度お願いします」
「何度も言わせるな。在花の視力を取り戻せ」
聞き間違いなんかじゃなかった。っていうか命令になってるし。
「先輩、そういうことは」
「医者にはもう行った」
俺の言葉を先読みし、琴梨先輩はそう言った。
「あの、先輩?俺は医療の知識なんてないですからね?AEDなら使い方覚えましたけど、さすがに失明を治せと言われても……」
俺は探偵であり、医者ではない。そこのところわかっているのだろうか。
「在花が失明したのはほんの一月前、前兆もなく突然失明したそうだ」
「……失明の前兆としては、視野が狭くなる、など」
パソコンで検索をかけて調べたのだろう。背後から紅葉が教えてくれた。
「……前兆のない急性も、存在する」
「らしいけど」
「医者もそのようなことは言っていたがな。残念ながら原因は不明。失明する前の視力は1.8だったという言うし、過度なストレスもない」
「医者もお手上げですか」
そんなのどうしろと言うんだ。
「琴梨さん、光なんかは入ってくるの?」
琴梨さんは首を横に振る。
「真っ暗、なんです……光も、色も、何も見えない……」
「うーん。未知の病気だとしたら、医者でもわからないのは当然ですよね……」
「……やはり無理か」
無理、なんだろうか。琴梨さんの視力を取り戻すことは、本当にできないのだろうか?
「できる限りのことはしてみます」
「そうか……期待せずに待っている」


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