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マンブル
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マンブル-2

「えっ…ちょっ…詩希…。」歩いていく詩希の後ろ姿を見て青年は動くことが出来なかった。ふと手元にあるスケッチブックを開いてみる。一枚、二枚、開いて目を奪われた。力強く次々にめくられるページ、青年は再び詩希の後ろ姿を目で追う。彼女の姿はまだ遠くない。
「詩希…っ。」
スケッチブックを抱え走りだす。目は彼女の姿を捕えたままひたすら走り、腕をつかんだ。驚いて振り替える詩希と目が合う、息が弾む。
「初めて…今日もらえた言葉が『いつ行くの?』かと思ったら…ここにこんな沢山あった。詩希と出会ってから、オレが詩希の所いくようになって何回目からかノートとペン用意してくれてて、オレずっと詩希の言葉聞きたかった。」
詩希は青年の目を真っすぐみる。青年は優しい目をしていた。
「今までのパンの感想もその日思ったことも書いてある、詩希は恥ずかしがり屋だな。」
詩希の頬がうすべに色に染まる、たまらなく愛しい。青年は詩希の頭をなでた。
「ありがとう、好きだよ詩希!」
どちらともなく手を繋ぐ。どちらともなく見つめ合う。詩希が優しく微笑んだ。「手紙かくよ。」
手を繋いだまま歩きだす、スケッチブックは青年の手の中にある。
「でもそれまでにも会いにくるからな!?」
詩希が頷く。心地よい風が吹き抜けていく。
「誠二。」
「え?」
青年が問い掛ける、詩希は不思議そうに微笑む。つられて青年も微笑む。
土手を歩いていく。手を繋いだまま、二人はずっと歩いていく。


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