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『由美、翔ける』
【スポーツ 官能小説】

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『由美、翔ける』-35


「アンタ、スゴスギデス」
「………」
「クチデモシタシ、シリデモシタンデスネ」
 桃子の抑揚のない言葉を浴びて、由美は熱くなった顔を見せられず、恥ずかしさで一杯になったそれを、両手で覆い隠していた。
「コンプリート、デスネ。オメデトウゴザイマス」
「………」
 桃子の言う“コンプリート”とは、“膣”“口”“尻”の、三つある“乙女の純潔”を、全て同じ男性に捧げることをいう“俗語”である。
 やや遅い時間に寮に帰ってきた由美が、やたらとお尻を気にしている様子に疑念を抱いた桃子が、
『アンタひょっとして、“おケツ”でもズコバコした?』
 と、それを問い質したところ、頷きによっていとも簡単に由美から白状され、さらに、尋問の結果、“口”でも彼氏を昇天させたと知るに及び、冒頭の一言になったのである。
「よ、よっくん、呆れてないかしら……わたし、ヘンタイだって、嫌われてないかしら……」
 お尻でよがり狂い、一瞬、失神までしてしまった、浅ましい自分の姿…。
 八日市は、いつもと同じ様子であったが、我に返って己を省みると、引いてしまうぐらいの痴態を晒したという自覚があって、由美は、暗然としてしまうのだった。
「あー……」
 不意に桃子が立ち上がり、こぉぉ、と、壁を前に構えを取って、クンフー映画に出てくる拳法使いのような長い呼気を吐き出している。
「?」
 指の間から、親友の解せない動きを見ている由美。
「ホアチャッ!」
「!」

 どん!!

 と、桃子のパンチを浴びた壁に、穴が……開くわけはなかった。そのあたりの力加減は、桃子もわきまえているという事だ。
「はあ、すっきりした」
「も、桃子……」
 “壁パンチ”によって、ひとまず溜飲を下げた様子の桃子は、由美の対面に戻り、どっかとあぐらで腰を下ろした。まるで何処かの組織の“おかしら”のようである。
(おかしらいうな)
 …はい、すみません。
「由美、それよりアンタが気をつけなきゃいけないの、“痔”よ」
「……ぢ?」
「おケツでやりすぎて“痔”になったら、最悪の場合、マジで選手生命失うから」
「!?」
 確かにそれは、由々しき問題である。桃子の物言いが、かなり真剣なのは、それを心配してのことだと、すぐに由美はわかった。
「よっくんに関しては、安心していいんじゃない? だって、彼から入れてくれたんでしょ? アンタのおケツに」
「そ、そう、だけど……」
「アンタが気持ち良くなるなら、なんでもするって、健気じゃないの。けっ、やってらんねーわ」
 桃子はもう一回、壁を殴りたくなってきた。力をセーブできる自身がなかったので、穴を開けかねないため、やめておいたが…。
「ね、ねえ、桃子」
「なによ」
「お、おしりじゃなくても、男の子を、もっと、喜ばせるとしたら、どんなことがいいかしら?」
「ぶっ」
 由美はおそらく、“痔”のことを気にし始めたに違いない。あまりにも生真面目な由美の問いかけが、桃子にはとても滑稽であった。
「あんたに残ってるとしたら、“コスプレ”ぐらいかしら」
「こ、こすぷれ!?」
「料理の上手いアンタだったら、“エプロン”がいいかも」
「え、えぷろん!?」
「裸のまんまで、エプロン着るのよ。裸エプロン。それ、オトコノコの“あこがれ”だからさ」
「あ、あこがれ!?」
「ふふふ……用意してあげるわよ、アンタにぴったりの、チョーかわいい、フリフリのエプロンを、さ」
 由美は、自分と同じ“コンプリート”達成者である。桃子自身が、同じ立場の女子であるため、彼女に奨められるとすれば、まずはそれしかない、と、桃子は思い至ったのだった。


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