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『由美、翔ける』
【スポーツ 官能小説】

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『由美、翔ける』-28


「どスケベ」
「うっ……」
 桃子のあられもない一言に、由美は返す言葉もなかった。
「初めてのズコバコで、6回もするなんて、うらやまけしからん話だわ」
「だ、だって、よっくん、止まらなくて……」
 由美の“センズリ”で一度、初めてのセックスでもう一度、連続して“射精”をしながら、それでも収まらなかった彼の“怒張”を慰めるべく、由美も、愛情の全てをその部位に注いで、ひたすらに愛欲に満ちた時間を過ごした。
『よっくん、すごいのっ、このカッコ、気持ちよすぎるのぉっ……!』
『ユミさん、僕、また、で、出ちゃうっ……!』
 前から、後ろから、横から、座りながら、そして、立ったまま…。初めての夜を迎えた同士とは思えないほどに、バリエーションに溢れる体位を取りつつ、互いの体を愛撫しあったのである。
『あっ、ああぁあああぁぁっ!!』
 由美もその中で、初夜にもかかわらず、はっきりとわかる絶頂を三度も体感した。“自慰”とは全く比べ物にならない、その陶然とした妙味は、注意をしないとすぐにでも溺れてしまいそうなぐらい気持ちが良くて、逆に、恐れおののいてしまうほどだった。
 外泊届けは、一泊分だったので、翌日は寮に戻ってきたが、そのギリギリ限界まで、八日市とは“ズコバコ”しあった。
 その後始末をした、大量のティッシュが入ったポリ袋と、交わりあった濃密な匂いを彼の部屋に残して、名残を惜しみつつ、由美は帰ってきたのである。
『ズッコンバッコン、したんでしょ?』
 外泊して、さらに、肌を艶々とさせて、しかも、腰に弾むようなリズムを見て取った桃子は、由美が“初体験”を済ませたことを、あっさりと看破した。
『……しました』
 桃子には、隠し事は出来ない。それに、八日市とひとつになったのは、むしろ、女の身としても誇らしいことだったから、由美は、桃子に全てを白状していた。
 それが、冒頭の二人のやり取りに繋がっているのである。
「まー、しかし、空を翔けるように段階を踏んだわねぇ」
 初めての“デート”に、“城東スポーツセンター”を選んだ者同士とは思えないほど、男女としての“A・B・C”をいとも簡単に踏破したものだと、桃子は少しばかり驚かされた。
「わ、わたしも、信じられない……」
 そして、自分が“処女”でなくなったことを、何より実感できていないのは、由美本人であった。“あそこ”には間違いなく、八日市を迎え入れた感触が残っているというのに、だ。
「月並みだけれど、運命なんじゃない?」
「う、運命?」
「よっくんのこと、逃がしたらダメだよ」
「……そうね」
 桃子に言われるまでもなく、八日市のいない時間というものを、由美は想像できなくなっている。考えてみれば、変態の悪漢から助けられた出会いも既に、“運命”を感じさせるものではないか。
「“胃袋”と、“玉袋”を、しっかり掴んで、放すんじゃないわよ」
「た、たま!?」
「きちんとニギニギしてさ、悦ばさなきゃ」
「ニ、ニギニギ!?」
「あ、でも、潰しちゃったら、“おとこの娘(こ)”にしなきゃいけなくなるから、ほどほどにね」
「も、桃子ぉっ!!」
 殊勝に感じさせた物言いから一転、いつものように下ネタ満載で浴びせかけてきた桃子のマシンガン・ワード・ラッシュに、由美はその顔を茹で上がらせながら、非難の声を挙げるのであった。


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