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『由美、翔ける』
【スポーツ 官能小説】

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『由美、翔ける』-26

「じゃあ、これ、つけてね……」
「わかりました。ちょ、ちょっと、待っててくださいね」
 由美が手渡したスキンを、八日市は受け取る。そのまま袋を割いて、取り出したゴム片を、由美の見ている前で、ぎこちない手つきながら、なんとか己の“陽茎”に装着させることができた。
「と、整いました」
「う、うん……」
 いよいよ、ひとつになる。
 初めて、自分の中に男を迎え入れることになった由美は、さすがに強い緊張が体を走り、小刻みな震えが止められなくなった。
「ユミさん、震えて……」
「あ、あは……やっぱり、その、初めてだから、緊張して……」
 どれだけの痛みが、繋がる場所から発せられるのか、一体どんな感覚が、入れられた時に胎内に生まれるのか。
 見当のつかないそれぞれの事象に、不安を抱くのは至極当然だった。
「ん……」
 それを悟ったように、八日市の唇がもう一度、由美のそれを塞いできた。
「よっくん……」
「いきますね」
「はい……」
 互いに覚悟を決めて、それぞれの性器が近づく様を、見つめあう。
「ここ、ですよね……」
「んっ……そ、そう……そこ……」

 ず、ぬ……

「んんっ……!」
「く、あっ……」

 ずぬりっ……

「!?」
「?!」
 膣口に、八日市の先端がたどり着いて、力が圧し掛かったかと思った瞬間、まるでそれは、元の場所に還って来たかのように、いとも簡単に由美の胎内に全てが収まった。
「は、はいっちゃった……」
「えっと、そうみたい、ですね……」
 入れられた方の由美が、呆気にとられてしまうぐらい、あっさりとした初めての挿入になった。
「ユ、ユミさん、痛く、ないですか……?」
 あまりにも簡単に、奥深くまで貫いてしまったから、本で読んでいたような“破瓜の痛み”が、由美にどれだけ走ったか、その反応から想像がつかないようだ。
「う、うん。その、突っ張る感じはあるけれど、大丈夫、みたい……」
 由美も、もっと痛いものと考えていたから、はっきり言えば拍子抜けするぐらいに、“初めての挿入”が終わってしまって、逆に戸惑うばかりだった。
(あ、そういえば、わたし……)
 ふと思い至ることが、由美にはあった。
「あ、あのね、よっくん」
「?」
「わたし、小学校のときから、バレーボールをしてたんだけど、その……」
「??」
 小学5年生のとき、背がそれほど高くなかった由美は、それならレシーブで誰にも負けない選手になろうと、フライングレシーブや、回転レシーブの猛特訓に明け暮れたことがあった。
 そんなある日、フライングレシーブをした際に、打ち所を少し誤って、股間に刺すような痛みが走り、あとで見てみたら、血が出ていてびっくりしたことがあった。
 まだ生理は始まっていなかったから、血を見てしまった由美は、血の気を失って、慌てて保健室の女先生に相談をした。
『ちょっと、見せてごらん』
 由美は、その女先生に対して、すぐにパンツを下ろして、つるつるの股間を見せた。すると、その女先生は、安堵したような息を零して、由美の頭を優しくなでてくれた。
『安心していいよ。でも、今日はお風呂は入らないほうがいいね』
『先生、ゆみ、どうしちゃったんですか?』
『んー。ちょっと、難しい話になるかもだけどね…』
 そのとき初めて、女の子の身体の仕組みを少しだけ学んだ由美であった。
 中学生のときにも、同じことがあった。
 猛特訓の賜物で、小学生の頃から、バレーボールで注目を浴びるようになった由美は、全国でも有名な強豪校である城西女子大付属中学に、受験入学をしていた。
 連日の猛練習に汗を流している最中、強烈なスパイクにレシーブのタイミングが合わず、ワンバウンドしたトップスピンのボールを、股間に直撃させてしまったことがあった。
『ぐはぅっ!』
 そのときの、身が裂けるような衝撃的な痛みは、今でも思い出せるほどだ。
 ただ、強烈なスパイクとは裏腹に、気持ちが優しすぎるところのあった相手が、彼女にとっては先輩に当たる自分の股間を命中させたスパイクに気を病むのを慮って、なんでもない素振りでその場をやり過ごし、激痛の走る股間を抱えながら、その日の練習を何とか乗り切った。
 あとから股間を確認してみると、小学校のときと同じように、パンツに血がついていた。そしてそれは、既に始まっていた生理のときとは違う、鮮やかな赤色だった。
『あー、ひょっとして…』
 小学生時代に、保健の女先生に受けた“説明”を思い出す。
『破れちゃったんだ……』
 既に年頃の少女となっていたから、ボールによって“処女膜”を破ってしまった由美は、少しばかり消沈した。
『膜が破れてたって、“ち×ちん”入れなきゃ、処女は処女よ』
 その時から既に親友だった桃子にだけは、身体の相談をしていた。あけすけな物言いで赤面させたが、それがこの時ばかりはとてもありがたく、由美は気持ちが軽くなって、桃子に感謝していた。


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