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ようこそ花咲女子寮へ
【ラブコメ 官能小説】

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不可抗力だもんね-1

風音の部屋を後にした僕は、自室でくつろぎながらも、
ぼんやりとさっきまでの出来事を思い返していた。

人知れず性的な妄想を繰り返してしまうのに、それを解消する術を知り得なかった風音。
その理由は明らかに過去の母親から受けた虐待であり、
トラウマを解消してやると共に、
いつの間にか性欲解消の方法まで教えちゃったけれど…………

(本当にこれで良かったのかな? 性欲処理の手段に悩み苦しむ人が集まるこの場所で、
 その発端とも言える性処理の手段を教えちゃうなんて本末転倒な気がする…………)

そもそも風音の母は、どうして暴力を振るってまで風音の行為を咎めたのだろう。
風音は『娘を自分のように男で失敗しないように』だなんて言うけれど、
僕にはむしろ同じ血を持つ娘の将来を案じて強制的に抑制したような気がしてならない。
だって三度の離婚を繰り返し異父姉弟が五人ほどいるって事は、
偏見を抜きにしても、とてもじゃないけどただの恋愛体質とは考えがたく、
むしろ人より性への依存度が高いのでは無いかとさえ疑ってしまうからだ。

そんな自分の淫乱とも言えるべき血を継ぐ娘の風音が、
目の前で性へと目覚めようとする姿を目撃してしまったのだから、
母親はどこか自分の人生をフラッシュバックさせてしまい、
思わず暴力という最悪の手段を取ってしまったのではないだろうか…………

(どちらにせよ娘への愛情からだと信じたい話だなぁ…………)

どこか後悔にも似たモヤモヤした気分に苛まれながら、
僕はごろりとベッドに転がった。

コンコン

するとその瞬間、誰とも無しに僕の部屋をノックする音が聞こえ慌てて立ちあがるも、
そのやたらと陽気な声を耳にして僕はすっかり脱力してしまった。

「ただいまぁ ダーリン♪」

そこにいたのはスーツ姿に眼鏡を掛けた無駄に美人な女性───美咲さんのお帰りだ。

「おかえりなさい、意外と早かったんですね?」
「だって早くダーリンに会いたかったんだもんっ これでも急いで帰ってきたのよ?」
「えっと………… なんですか、そのダーリンって…………」
「やん、『浮気せずまっすぐ帰って来いよ』って言ってくれたじゃない?」

そういえば朝方そんな小芝居をしていたようなしなかったような……

「さ、早く私の部屋へ行って深く愛し合いましょ?」
「えっ? ちょ………… 美咲さんっ?」

そう言うや美咲さんは僕の手をギュッと握ったかと思うと、
有無を言わせずそのまま自室へと引っ張っていった。


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