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ようこそ花咲女子寮へ
【ラブコメ 官能小説】

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相変わらず君は罪な男だな-3

僕と会話しながらも、そつなく食事を終えた美咲さんは、
満足そうに箸を置くや、そのままごろりとベッドに寝転がってしまった。

「ちなみにこうして食事をするのも、食欲という欲を満たすための行為だよね?」
「はい」
「性欲もまた同じで、本質的には生殖行為なんだけれど、
 そのたびに子を宿すわけにはいかないからね…………
 実質、子作りじゃない性行為なんてオナニーと何ら変わり無いのよ」
「そ、それはまた斬新な見解ですね…………」
「うん? そうかな? あくまでひとりでするかどうかの違いであって、
 目的は快楽なのに代わり無いんだからさ…… あながち間違ってないと思うわよ?」

確かに、美咲さんの言っている事はわからなくもない。
男女が性行為を行うのはごく正常な行為とされ、
自慰行為と聞くとなにやら虚無的で背徳なイメージがあるが、
つまるところ目的は同じ、快楽を求める行為以外の何物でもない。

「あ、もちろん愛だの恋だの感情論は抜きの話よ?
 それを言っちゃ身も蓋も無いっていうか………… 話がややこしくなるからね?」
「それはまぁ…… そうですが…………」
「けど、言わばその得体の知れない愛だの恋だの言うヤツがあるからこそ、
 人は人との交わりを求めて一人より二人を選ぶのかもしれないのだけど…………」
「…………なんかわざと僕を混乱させて楽しんでませんか?」

僕はベッドの脇であぐらをかいたまま大きく溜息をついた。

「いやいや、そもそも私がこの寮にいるのってさ、
 先輩の論と私の論をぶつけて相殺させるため…… だってのは知ってるわよね?」
「…………はい」
「だからさ…… 君が悩むことってのは、きっと私の論に近いんじゃないか…………
 なんとなくそう思ったんだけど見当違いかしら?」
「…………いえ、鋭いです …………鋭すぎてなんだか恐いくらいです」

美咲さんと秋子さんは同じ性心理学を学びながらも、
そのアプローチが大きく異なっている。
互いに性の悩みに真剣に向き合っている事に違いは無いが、
秋子さんは自己処理推進派であり、美咲さんは異性交遊推進派で相反しているのだ。

ちなみに僕は美咲さんの意見もわからなくは無いが、
異性交遊における大きなリスク──────
それこそ愛だの恋だのといった感情という名の不確定要素を踏まえると、
どうしても秋子さんの意見に賛同してしまう事になる。


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