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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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鉄格子の向こう側 *性描写-2


 その日から、ツァイロンにあれこれ身体をいじり回されては、様々な事をやってみろと命じられる日々が始まった。
 一通りの魔法、剣や素手で戦う身体能力、日常生活の細かい作業まで、呆れるほど様々な事をやらされた。
 どれも簡単にでき、つまらなかった。
 くだらない命令をして自分を縛るツァイロンも大嫌いだし、他の主も嫌いだ。
 つまらないもの。くだらないもの。嫌いなもの。そんなものばかりだ。
 その中で、とびきり嫌いなのが自分だった。

(玩具みてーに言う事きかされて、死骸とどこが違うんだ?)

 ある日、失態を犯した使用人を、ツァイロンは命の欠片を潰して殺した。
 あっけなく即死した死体を動かしてみろと命令され、ゾンビ化する魔法をかけた。
 死体は真っ青な顔のまま、フラフラと起き上がった。再び生き返ったわけではない。意思も感情もない、ただの肉でできた動く塊。
 自分を見ているようで、ゾッとした。
 命のかけらを握られ、ツァイロンに操られ続ける自分が、そこに投影されていた。
 その日から、ミスカはツァイロンの命令を一切聞かなくなった。

「殺すなら、好きにしろよ。てめぇの命令なんか、二度と聞くか」

 主たち全員がかりの魔法呪縛で拘束され、睨み付けるミスカに、ツァイロンは悔しさと怒りの混じった声を落とした。

「お前が私の最高傑作でなければ、とっくに殺している。これだけ優遇されていながら、何が不満だ?」

「何が?何もかもだ!全部くだらねぇ!」

「なるほど……」

 細い顎に手をやり、ツァイロンは少し考え込んだが、ふと何か思いついたようだ。

「お前にちょうど良い行儀手本を紹介してやろう」

「は?」

「エリアスという出来損ないの姓玩具だ。自分の仕事を楽しめなくとも、真面目にこなしている。たった一つの特技だが、お前に必要な部分だ」

 ミスカが封じ石の檻にぶちこまれ、『出来損ないの行儀手本』と同室を強制されたのは、そういうわけだった。




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