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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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真相-4

「?何だ、尻尾感じるのか?」

 少し顔を赤くしているゼインに気づいたスランは、面白そうに尻尾を追いかける。

「うっせ、馬鹿っやめろっ!」

「ほれほれ」

「んぎゃ?!」

 根元辺りを軽く握られ、シュルシュルっと先っぽまで撫でられたゼインは背中を反らしてブルッと震えた。

「ははっ面白れぇ〜こっちはどうだ?」

 スランはゼインの獣耳の後ろをカリカリ掻いてやる。

「ばっ……やめっ……ふにゃ」

 ジタバタして逃げようとしたゼインだったが、スランの愛撫にノックダウン。
 くてんとスランの膝に身体を預ける結果となった。

「まるで犬だな」

「……うっせえ」

 腰砕けになったゼインは、スランに膝枕をしてもらっているような状況に苦虫を噛んだような顔をするが、カシカシ掻いてくる手が心地よくて尻尾をパサパサ振る。

「はいはいっと……それでな、シグナーのアジトなんだが……」

 見事にゼインの気をカリーから反らしたスランは、自分が考えた作戦を説明した。

 作戦はこうだ。

 どうせカリーを連れ戻すなら、二度とシグナーの目に怯えて暮らさなくて良いようにしたい。
 だったら、カリーが何かに襲われて殺された風を装おう。
 では、何がカリーを襲うのか?
 魔物……つまりゼインしか居ないじゃないか……という訳だ。

 シグナーのアジトと合言葉はスランが知っている。
 ライバル相手の情報は把握しておくのは暗殺者として当然。
 夜になるとゼインの鋭い嗅覚でカリーの正確な位置を特定し、街外れの空き地から地面を掘っていく。
 その間、スランがシグナーのアジトに行き地中を掘る際に出る音を誤魔化す。
 『ログの黒い鷹』がシグナーに現れたとなれば、頭領は勿論、全メンバーが注目する。
 その隙にゼインがカリーを救い出し、彼女が魔物に喰われたように見せる。
 魔物形態になったゼインは自分の舌を噛んでその血を床に吐き出し、念の為カリーの髪の毛を数本抜いて置いておく。
 カリーはゼインの首にしがみつかせておけば長い鬣に隠れて見えない。
 後はスランを巻き込んで派手に脱出。
 スランをくわえて口の中に隠し、再び自分の舌を噛んで派手な出血を演出し残忍さを見せる。

 その後はスランの予想通り……殺すしか無いカリーと、邪魔なスランを片付けた魔物をわざわざ危険を侵して退治する筈もなく、逃げたゼインを追うものは何もなかった。
 ついでに、シグナーのアジトにて『ログの黒い鷹』が魔物に喰われた、という噂も流れるのでスランの死亡は確定となり、ログのリストから抹消。
 スランもある意味、自由になる。



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