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ある昏睡患者?の独白
【コメディ 官能小説】

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覚醒後に-1

「安治、目が醒めたかい?」
気がつくと俺はベッドに寝てて、お袋がそばにいた。俺は辺りを見回した。
「チエミは? 母さん、チエミはどこに行ったんだ?」
「なに、それ? 看護師さんの名前かい?」
「そうだよ。死んだタイゾウ爺さんのひ孫の娘だよ」
「タイゾウ爺さんてタイゾウ伯父さんのことかい? まだ生きてるじゃないか。それにひ孫で看護師やってる大きな娘なんていないよ」
「テルミさんの娘がいるだろう?」
お袋は笑った。
「うん、小さな女の子はいるけどまだ2つか3つだよ」
「えっ? そんな筈は……」
俺はお袋の顔を見た。まだ50前の顔だった。えっ、俺は確か40才の独身男だったはずじゃないか?
「安治、目が醒めたならさっさと家に帰るよ。高校で熱中症になって倒れたって言うから慌ててパート先から飛んで来たんだ。父さんには大したことなかったって教えといた。
良い若者が日に当たったくらいで倒れるなんてだらしないねえ。もう17才だろう?しっかりしなよ」
そう言うと、お袋は帰り支度を始めた。
俺は夢を見てたのか? じゃあ、チエミは? 実在してなかったのか?
それともあと数年してタイゾウさんが死んだら会えるのか?
俺はベッドから体を起こした。そして、お袋の後を追いかけながら言った。
「母さん、待ってくれよ。腹が空いたからラーメンか寿司食わせてくれよ」
お袋は一瞬立ち止まったが、振り返らずにそのまま行ってしまった。薄情者!

   完 


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