第一章-3
お泊りから、一週間と三日後。水曜日。
今日は学校。
「おはよー。真央。」
「おはよう。今日は早かったんだね。沙希」
「ねぇねぇ。真央。あともうちょっとで、文化祭だね!」
あー。文化祭かー。去年はお化け屋敷だったっけ。
「そだねー。今年はなにやるんかな。」
「やっぱ、今回こそ焼きそば屋さんやりたい!」
そーいえば、沙希は去年。
『高校の文化祭といえば、焼きそばだよね!!絶対焼きそば!』
っていってたなー。お化け屋敷になったとき、めっちゃ落ち込んでたけど。
「おーい!真央!」
「あ、真央。王子様がお呼びですぞ。」
「はぁ。もうそんなんじゃないから!」
さっきの声の主は、隣のクラスで幼馴染の斉藤 真樹斗(さいとう まきと)。
私は、よくわからないがさわやか系のイケメンでサッカー部ということもあり、モテる。
「なに?真樹斗。」
「いやぁ。もうちょっとで文化祭じゃん?」
また、文化祭か。
「んで、俺その実行委員みたいなのに選ばれちゃってさー。」
「うん。」
「俺、人見知りじゃん。」
「うん。」
「だから、真央も実行委員一緒にやろ!」
は?何を言ってるんだこいつは。
「やらない。」
「えー。なんでー?」
「どう考えても面倒くさいでしょ。私は面倒なことはきらいなの知ってるくせに」
「えー!沙希ちゃんがいいっていったら?」
「なんで沙希が出てくるの?」
「真央ー。呼んだー?」
「あ、沙希ちゃん!俺と真央と沙希ちゃんで文化祭の実行委員やろーぜ!」
「実行委員?いいよー!楽しそうだし。」
えぇー!?マジですか!?
「沙希。本当にやるの?」
「うん。たのしそーじゃん!決定ね!」
終わった。もう文化祭までの放課後は無くなった。
でも、沙希の楽しそうな顔を見ると、もっと愛おしく感じる。
それ以上に、切なくもなるけど。