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一番近くて遠い君へ
【初恋 恋愛小説】

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一番近くて遠い君へ-1

好きで好きで大好きで

いつか力ずくで君をどうにかしてしまうんじゃないかと不安になる。

こんな邪な自分の気持ちに気付かれないよう仮面を被ってあげられれば側にいられたかもしれない

だけど

出来ないから離れた

君に嫌われたくなくて

俺は

逃げた・・・



「ただいま・・・。」
そっと自宅の玄関を開ける。
玄関にあいつの靴がないことにほっと安堵の息を漏らす。
「おかえり〜!直哉。」
台所の方から実の母親の声がする。
ぱたぱたと走る音がして俺を迎えに来る。
「もぉ、高校の寮に入った途端ちぃっとも帰ってこないんだから。ななちゃんといつもどうしてるかねって言ってたんだよ。」

「ななちゃん」の言葉にどくん、と胸が弾むのを感じた。
ななちゃんこと奈波は俺がまだ5歳の時にできた5ヶ月違いの義妹であり・・・。
「なおくんっっ。」
先ほど閉じたはずのドアが勢い良く開き、振り向く間もなく背中に重みを感じる。
「・・・っ。」
やっぱり帰って来なければよかったと思う。
俺が・・・家から離れ、家に帰らなくなった原因。
俺が・・・好きな人。
「なおくん、また大きくなったねぇ!寮生活はどう?楽しい?
彼女とかできたの?」
俺の気持ちなんて何も知らないから笑って聞いてくる。
無邪気でいつもにこにこ笑っていて・・・。
「うるさいし、重いんだけど。」
冷たく接することしかできない。
そうしないと自分の気持ちが暴走しそうで。
「あ・・・ごめん。」
本当に申し訳なさそうに奈波が謝る。
しゅん、とした彼女を置いて自分の部屋に入った。

思わず自己嫌悪。
妹、とはいえ義理なんだからとは思ってる。
だけどこの平和な家庭を崩したくはない。
義理、だって戸籍上は妹だ。

いつからだろう?奈波を妹としてではなく女として見てしまったのは?
気付かなければよかった。こんな気持ち・・・。
誰と付き合ってもいつも奈波と比べてしまう自分がいる。
「奈波・・・。」
ぼそり愛しい名前を呟く。

その時、トントン、と部屋のドアがノックされ奈波が入って来た。
その手には教科書とノートが握られている。
「何?」
優しくしたいのに、そっけない言葉しか出てこない。
だけど、奈波は気にすることなく部屋に入って来た。
「あのねぇ〜、冬休みの宿題なんだけど、わかんなくって。なおくん頭いいから教えてもらおうと思ったの。」
ちょっと困ったように、にこにこ笑いながら人の椅子に座って言う。
「・・・どれ?」
本来ならきっと断ってしまうであろうことなのに、先ほど玄関で自分の心無い一言で申し訳ない顔をした奈波が頭を過ぎり教科書を取り上げる。


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