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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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23 強者の渇求(性描写)-4

***

 海底城で造られる者たちは、大きくわけて二種類ある。

 一つは実用性タイプ。
 高い魔力と身体能力を持ち、主の助手をつとめたり、大陸各地から情報や資材を集める。
 時には主が新たな技術を試し、より『進化』させる事もある。

 そしてもう一つは使用人タイプ。
 魔力は低く出来も粗雑で、その仕事だけに特化した能力を持つ者たち。

 エリアスは使用人……それも性玩具として造られた。
 培養液に浸され、魔法改造を施されながら、必要な知識を埋め込まれた。
 子ども時代はなく、外気に触れた時にはもうこの姿。
 与えられた閨で、ひたすら性奉仕をするのが、エリアスの造られた意味。
 進化を施される価値もなく、容姿も能力も死ぬまで変わらない。

 自由時間にはよく庭へ出て、植え込みの陰にひっそり座っていた。
 城周辺には広い庭や菜園もあり、魔法の膜は幻の太陽と月を投影するが、陽の時間は少ない。
 海底城では一日の大半が夜だ。

「雪だ」

 植え込みの向こうから誰かの声が聞え、視線をあげた。
 はるか頭上を見上げれば、贋物の月が輝く深海の空に、ひらひらと白いものが舞い降りてくるところだった。

 微生物の死骸が再現する、『海雪』

 静かな海底に沈む骨の牢獄にふさわしい、屍の雪。

 海雪は半球をした膜へ積もっていくが、じき海流に流されるか、魚の餌になって消える。
 綺麗だとは思うが、海雪は嫌いだった。

 地上の様子も、本物の月も雪も、知識としては知っていたが、興味はあまりない。
 使用人は一生をこの城で暮らすのだ。
 そして最期は、失態を犯して壊されるか、いつか来る自然崩壊で崩れるか。

 ここで生まれ、ここで朽ち、あとには何も残らない。
 あの海雪と同じだ。



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