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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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ゼロ-2

「!!」

 咄嗟に持っていた箒の柄で短剣の攻撃を防ぐ。
 ギリギリと押し合いをしながら絡まる視線。
 ゼインが本気を出せば彼女を吹っ飛ばすぐらい簡単に出来たが、もっと赤い眼を見ていたかった。
 2人同時に後方へ飛び退いて、ゼインは思わず笑顔になってしまう。
 ただ生きるだけじゃなく、生きる為の戦い……凄く、燃える。

(おっと)

 暗殺者の腕が動き、短剣が飛んでくるのが見えた。
 横に走ってそれを避け、キュッと方向を変えて彼女に向かって走る。
 短剣と箒が交差する度に木片が飛び散った。

(おもしれぇ〜)

 多分、負ける……彼女の方が明らかに技術が上だし、なんたってこっちは箒だ。
 勝てる筈がないのに無茶苦茶楽しい。

ガツンッ

 短剣がゼインの箒を掬いあげ、手から弾かれた箒がカラカラと音をたてて床を転がった。

(あ)

 思わず箒を目で追うと、ぐるっと視界が回転して背中が床に叩きつけられる。
 気付いた時には彼女がゼインに股がって首に短剣を当てていた。

「ハァ……ハァ……完敗だ……あんた強いな……」

 ああ……殺されるな……でも、凄っぇ気持ち良い。
 初めて自分で行動した……流されないで自分で生きようって動いた……だから、良い気分だ。

「ハァ…俺な……結構つらい生き方してんだよな……」

(何を暗殺者に語ってんだか……まあ、いいか)

 ゼインは自問したが、そのまま話を続けた。

「死んだり壊れたりしていく仲間も沢山居たし……間近で見てきたけどさ……」

 暗殺者の赤い眼が戸惑ったようにパチパチと瞬きしている。
 長い睫毛まではっきり見える……仮面を取ったら絶対に美人だと思った。

「やっぱ……生きてたいなって……思った……なのに何でかなぁ……あんたになら……良っかな」

 暗殺者の腕がピクリと動き、ゼインの首が微かに切れた。

「あんたの眼……綺麗だから……まあ……良っか……」

 ゼインは満足そうに目を閉じる。
 最期に見たのが赤い眼で良かった……心底そう思った瞬間、意識がブッツリ切れた。


 気がついたら檻の中に居た。

(あれ?生きてる?)

 ゼインは薄暗くカビ臭い檻の中で、頭の中を疑問符だらけにして身体を起こした。

「いっ?!」

 側頭部に走った鈍痛に顔をしかめ、手で擦る。
 ぬるっとした感触がしたので手の平を見てみると、生乾きの血が着いていた。


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