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女嫌いな俺
【コメディ その他小説】

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佐伯の逆襲-1

次の日約束の時間に俺は屋上に行った。俺は今回佐伯と会うのは3回目になる。いい加減うんざりというより、これはもう拷問だと思った。だから早くすませたかった。だが佐伯は変なことを考えてきやがった。
俺に手紙を突きつけたんだ。
「これは葦野桜さんから預かって来た手紙よ。その返事を今私にしてほしいの。そうすれば私も木下君の返事を天野君にするわ」
葦野桜と聞いて俺は驚いた。どうしてクラスも違う葦野と佐伯が繋がっているんだ? それよりも葦野は俺が唯一腐った果物の匂いを感じない奴なんだ。
好きだとか思ったことはない。だが、嫌いに思ったことはない。女が基本的に嫌いな俺にしてみれば、嫌いでないということは凄い奇跡的なことなんだ。
いつだったか学祭で仮装行列をやったことがあった。そのときに女生徒何人かが幽霊役をやったんだ。佐伯とか他の美人と言われる連中の幽霊は見ていてぞっとした。よく美人かどうかを見るなら幽霊にしてみればわかるというが、佐伯たちは本当に恐ろしい迫力があった。
ところが葦野桜の幽霊は怖くなかった。葦野桜が貧血で青白くなって顔に怪我をして血を流しているって感じで、怖いというより可哀想に感じたくらいだ。
つまり幽霊になっても葦野は葦野だった。俺はそこが気に入った。葦野桜は美人じゃない。だからと言って他の男達が彼女のことを言うようにブスではない。個性的な顔なんだ。平均顔じゃないんだ。よく顔の中心に目鼻が集まっているって顔があるだろう?葦野はその逆なんだ。遠心力で顔の周辺に目や口が拡散してるんだ。
だから一見間のびした顔に見える。だがそれがゆったりした感じで癒されることがよくある。
喋り方もねちねちした喋り方をしない。だから気楽に話せる。誰も葦野と喋っても冷やかさない。
だがその葦野が俺に手紙をくれたという。俺は手紙を開いた。するとそれはパソコンで書いてあった。

天野安治君へ
私は天野君のことが前から好きです。天野君は性格がひねくれていると他の人が言うけど私はそうは思いません。天野君はとても個性的なのだと思います。
女の人が嫌いみたいだという噂もありますが、男の人だからそんなことはないと思います。たまたま周りに嫌いな女の人ばかりいたのだと思います。それはとても不幸なことです。
天野君は美人の女の子を見ても全然好きにならないみたいですね。美人は他の男の子も寄って行くので、独り占めにできないから嫌いなんでしょう?
その点私は大丈夫です。もし私のことが好きなら独り占めできますよ。私も他の男の子に目移りしません。
お返事待っています。お返事は佐伯さんに伝えてください。
    葦野桜

 


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