投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

魔眼王子と飛竜の姫騎士の最初へ 魔眼王子と飛竜の姫騎士 60 魔眼王子と飛竜の姫騎士 62 魔眼王子と飛竜の姫騎士の最後へ

20 骨製の海底城 *性描写-5

ゼノよりはるかに設備の整ったシャワー室で湯を浴びながら、残滓を掻き出し、海草石鹸で全身を洗う。
 備え付けタオルもあるし、温風で髪を乾かすのも、ここでは簡単だ。
 すっかり清めた身体を男にし、水盤の部屋へ入った。
 外に出るなら、行きたい場所をイメージし、水盤に飛び込めば良いだけだ。
 呪文を唱え、青銅の水盤にゼノ城の自室が映る。

「……」

 唇を噛み、水面スレスレで手を一振りした。
 水面の景色が歪んで消え、ただ青銅の底が透ける。
 足早に廊下を歩き、ミスカの部屋をノックした。

 返事を待っていられず、勝手に扉を開けると、ミスカは寝台の上に胡坐をかいて座り込んでいた。
 眠っているようでもなく、両目を閉じて何か集中しているらしい。
 顔をしかめ、額にはびっしょり玉の汗が浮かんでいた。

「ミスカ……?」

 予想外の姿に、一瞬だけ気を削がれかけた。

「ん?」

 パチリと目を明けたミスカは、額の汗を袖で拭い、いつものお気楽な表情になる。

「なんだ、エリアスか。どうだった?」

「おかげさまで。あと数十年は大丈夫そうですよ」

 皮肉をこめて、唇を吊り上げる。

「わざわざご心配してくれて、ありがとうございます」

「あ、聞いちゃった?ツァイロン主さま、意外とおしゃべりだな」

 剣呑な視線を悠々うけながし、ミスカは悪戯坊主のような笑みを浮べた。

「んで、何か用?こんな時間に来てくれるとか、夜這いを期待していいわけ?」

「……ええ」

 ミスカを睨んだまま、呪文を唱えた。
 文官服の下でエリアスの体が、女性らしい丸みを帯び始め、すっかり変わった所で、靴を脱いで寝台に上がった。

「ミスカ、わたくしとセックスしましょう?」

「は?」

 本当に言われるとは思っていなかったのだろう。
 ポカンとした顔が、愉快でたまらない。

 ペロリと唇を舐め、そのまま寝台へ押し倒した。

「貴方の気が済むまで、たっぷりご奉仕いたしますよ」

 引きつった声がかすかに震えてしまうのを、どうしても抑えられない。
 全てにおいて、ミスカはエリアスより優秀だ。
 エリアスが勝てるものなど、セックスだけだろう。
 昔はそれが、たった一つの特技だった。

 ミスカさえいなければ、それで満足できていたのだ。
 苦痛で仕方なかったけれど、それでも良かった。

 それを、コイツが、余計な事をして、コイツは……!!コイツは……っ!!!!

 目も眩みそうな怒りに、いっそこのまま殺してやりたくなる。

「ハハ……そりゃ嬉しいけどなぁ」

 ほんの少し、ミスカが悲しそうな表情になった。
 だがすぐに、いつものふざけた調子で笑う。

「遠慮しとくわ。お前が本気になったら、五分でイかされちまう」

 素早く足元を払われ、あっという間に視界が反転した。
 逆に押し倒されたエリアスを、ミスカがきつく抱き締める。
 ミスカの表情は死角になって、見えなかった。

 ゾっとするほど冷たい声で告げられる。

「悪いな、お前にご奉仕はされたくねーんだ。足腰立たなくなるまで犯られたくなけりゃ、さっさと帰れ」

 ***

「……」

 昨夜の記憶を潰すように、エリアスは枕に強く顔を押し付けた。
 これ以上考えたら、今日もまた眠れなくなる。



魔眼王子と飛竜の姫騎士の最初へ 魔眼王子と飛竜の姫騎士 60 魔眼王子と飛竜の姫騎士 62 魔眼王子と飛竜の姫騎士の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前