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魔眼王子と飛竜の姫騎士
【ファンタジー 官能小説】

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20 骨製の海底城 *性描写-3

***

 はるか昔、初めは仲良く暮らしていた魔法使い達が決別するきっかけは、あるものの奪い合いだったそうだ。
 それは、金のトカゲの骨。
 万物に力を授けたトカゲは、すっかり食い尽くされ、巨大な骨だけが残っていた。

 始めは些細な口ゲンカが、次第に魔力を向け合い、派閥をつくり、争いは大きく大きくなった。
 歴史上で最大最悪の戦と言われ、大陸でこの話を知らないのは生まれたての赤子だけだ。

 殺され、殺し合い、最後に壮絶な戦いの末、地形までも変える爆発が起きた。
 大きく削り取られた海岸から、海水はトカゲの骨があった荒野まで流れ込み、十数人の魔法使いと供に、トカゲの骨は海底に沈んだとされている。
 その後、骨を発見したという者はなく、実は他の場所にあるとか、爆発で消し飛んだとか、無数の逸話が残るのみだ。

 一緒に沈んだ魔法使い達は、皆死んだとされているが、それが間違いだと、エリアスは知っている。
 ここから先の真実は、海底城に住む者だけの知識。

 非常に優れた魔法使いだった彼らは、あえて骨ごと沈み、魔力を駆使して海底を生き抜き、トカゲの骨で城を作ったのだ。
 骨になってさえ、金のトカゲはその身に絶大な魔力を残していた。
 海底城を覆う膜は、ストシェーダ王都の膜と原理は同じだが、はるかに強力で城を完璧に多い隠す。
 この城へ入るには、通信魔法で呼んでもらうしかない。
 海底城で暮らし始めた魔法使い達は、城を満足いくまで完成させると、更なる目標に憑かれ始めた。

 『不老不死』

 誰もが一度は望み、叶わぬ夢に終わる目標を追い始めた。
 これが叶えば、種の存続に悩む必要も無い。
 自分達自身が、永遠の存在になるのだから。

 だが、トカゲの骨からいくら知識を得ても、それだけは解らなかった。
 無数の蛮族や魔法使いを攫って実験を繰り返した。
 その間で、自分達へ奉仕させる使用人や玩具も作った。
 ついには自分達自身も、不老不死の実験台にした。
 二百年も若者のままでいた者、ゆっくりと歳をとりつづけながら数百年生きた者もいた。

 それでもいつかは死ぬ。


 そして限界を悟った海底城の魔法使いたちは、不老不死になりそこなった実験体たちを、大陸各地に送り込み、星の数ほど増えた魔法使いや蛮族から、様々な『知識』を集めさせた。
 時には、特に優れた才能を持つ者を海底城の研究仲間に引き入れた。
 エリアスがアレシュの元に送り込まれたのも、主の命令だ。

 異常な執着心から生かされた魔眼王子は、エリアスへ非常に多くの知識をくれた。




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