投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

三叉路 〜three roads〜の最初へ 三叉路 〜three roads〜 74 三叉路 〜three roads〜 76 三叉路 〜three roads〜の最後へ

元カノ-7

「知らない番号だったから誰かと思った」


私は再びベッドに横になりながら話し始めた。


なるべく普段通りを意識して。


『あー……、教えてなかったっけ? まあ、毎日顔合わしてたら電話なんてそうそうしないもんな』


そう言って彼は小さく笑う。


いつもの土橋くんだ。


私はなぜかホッと安心して小さく微笑んだ。


「……ってか、私の番号消してなかったんだね」


『まあな。女の番号なんてもったいなくて消せねえよ』


電話の向こうのおどけた笑い声。


―――郁美の番号は消してたじゃん。


そう思ったけど、口に出すのは止めた。


今は郁美の話はしたくなかった。


たとえ短い間だけでも、いつものようにくだらない話で笑い合いたかったから。


『あれからカラオケ行ったのか?』


「うん。大山くん、すごく上手くなってたよ! 採点やったら85点出してたし」


『マジで! あの倫平が!? こりゃ俺も次行って確かめてみないとな』


土橋くんがそう言うと、グッと胸が詰まってしまって、咄嗟に言葉を出せなかった。


彼の“次”と言う言葉が私を不安の渦から引き上げてくれた気がして。


また、今まで通り一緒にいられる、そう思った。


私は堰を切ったように、次から次へと他愛もない話が出てきた。


男の子が苦手だったなんて、まるで嘘のように。


土橋くんは、そんな私のくだらない話に小さく笑いながら相槌を打ったり、時々は自分の話もしてくれたり。


いつもなら、聞き役にまわってばかりの私がやたら饒舌になっていたのは、土橋くんからの初めての電話が嬉しかったからなのか。


それとも、彼が何かを話そうとしているのを聞きたくなかったからなのか。


今の自分にはわからなかった。




三叉路 〜three roads〜の最初へ 三叉路 〜three roads〜 74 三叉路 〜three roads〜 76 三叉路 〜three roads〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前