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片思い
【片思い 恋愛小説】

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片思い-1

  "ぁ..."今日もまた気づくと彼を目で追っていた。探してた。集会でホールに集まる時。廊下を歩いている時。それに気づいたのは高校3年の夏服も終ろうとしている9月半ばだった。
私はサッカー部のマネージャーと音楽部を掛け持ちていて男女問わず知り合いは多かった。その夏の体育祭、私は部活の6月にサッカー部を引退した相田和樹がリレーで走っているのを見つけた。
「頑張ってぇーっ、相田君!!」
走る彼を応援する私の横で友達の沙希がフッと笑った。
「他の子より応援する時、力入ってる。好きなの?」
と聞かれ
「そんなことないょ」
と私はその時は気にも留めなかった。が、今思えばその時にはすでに私は彼のことが好きだったんだろう...まさか自分が、自分の彼氏の友達を好きだなんて思ってもみなかった。
学祭も終るといよいよ学校は受験一色に染まっていく中、私は一人受験勉強よりも恋に染まっていた。
「私相田君のこと好きかも...」
9月半ばのある日の休み時間、私は沙希にそう話した。
「淳君は?まだ付き合ってるんでしょ?」
淳とは私の彼氏であるが、淳と相田君は中学校からの友達でとても仲がよかった。
「受験もあるし...別れる...」
「そっか...相田君には告白するの?」
「しない。迷惑じゃん」
それからすぐに淳に別れを告げた。さすがに時期が時期だけに好きな人ができたなどとは言えなかったので"受験"を理由にして別れを告げた。私は彼と廊下ですれ違うだけで、遠くから彼の元気な姿を見るだけで幸せだった。 だから告白などしなく
ても幸せだった。っというか、"相田和樹"の名前が出るだけで耳まで真っ赤になって言葉もしどろもどろになってしまうので、告白などとんでもないことだったというのが真相だが...。
そんな私でも推薦で大学に合格した。相変わらず私は相田和樹が好きで以前と全く変わらぬまま年を越した。ケータイの番号や、アドレスも聞けず、1月も終わり、遂に自由登校になってしまった。私は何も行動を起こせないまま2月に入ってしまった。しかし、そんな3年生にも全員登校しなければならない"登校日"を先生方は作ってくれていた。これほど先生に感謝することもそうはないだろう。登校日は2月14日のバレンタイン。
偶然なのか、気遣いなのかそんなことはさておいて、私は沙希に相談し、告白はしなくてもチョコを渡すことにした。
高校生活最後のバレンタインデー。相田君にあげるチョコはちょっと珍しいという理由だけでホワイト生チョコに決めた。少しでも印象を与えたかった。いくらマネージャーをしていたからといっても、私にとってそれは全く意味を為さなかったし、寧ろそれによって不利になっている気さえした。
そして遂に登校日である2月14日バレンタインデー。沙希には笑われるくらいラッピングに気合が入っていた。チョコを入れている箱を入れている紙袋には他にも手紙が入っていた。相田君とはクラスは違うしけっこう離れているし、人にできるだけ見られない場所でチョコを渡したいと思ったので、チョコを渡す場所は駐輪場に決めた。結局授業などは一切なくHR活動を1限しただけで終った。私は、決めていた駐輪場にチョコを持った袋を持って走っていった。駐輪場に着くと相田和樹はまさに自転車に乗ろうとしていた。
私は彼の袖を捕まえうつむいたまま途切れ途切れに一言「ごめん...」
と呟く。
「あ..ありがとう...」
と戸惑う彼の顔を全く見ることもなくその場から走り去ってしまった。
その後28日に卒業式予行、翌3月1日に卒業式を迎え彼も私も県外に進学し、会う事もなくなってしまった。
あの時私は手紙に"好き"とは一言も書かなかったが、"アドレスを教えてください"とメルアドを書いてあったのだが結局メールがくることはなかった。
最初から叶わぬ恋だとはわかっていたが、やはり辛かった。卒業式の日一緒に撮った写真はなんだかぎこちなく、他のプレイヤーにも変な目で見られてしまった..。
4月私は大学に入学し、また新たな恋に向かうのだろう..でも彼のことは絶対にずっと忘れない。
"迷惑をかけて本当にごめんなさい"
幸せな日々を本当にありがとう。


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