１０ 二匹の飛竜（人外性描写）-4
〔ひゃっ？ん！？んんっ！？〕
〔他人さまの城でこんな事は、俺としても不本意だ。早く終わらせるから、声を殺して大人しくしていろ〕
伊達に歳を食ってはいない。
交尾に気の進まない雌を適度に喜ばせ、あしらう技術も見につけている。
暴れないように軽く背を押さえながら、尚も甘噛みを繰り返す。
チラリと見ると、ナハトは前足の間に顔を埋め、必死で声を殺していた。
可愛いものだと、尾が垂直に立ちあがるまで嬲ってから、後ろまで首を伸ばした。
普段は垂れた尾に隠されている性器が晒され、発情期独特の匂いを発している。
閉じた膣口から微かに滲みだしている薄甘い分泌液を、丁寧に舐めた。
〔ん、んん、んんんっ！〕
〔おぬしが俺を忘れるかはともかく、今は確かに酷い子だな〕
思わず苦笑がこみ上げ、ナハトに聞えないよう小声で呟いた。
これが発情期の最中だったら、はたして自制できたか怪しいものだった。
雌の身体を壊すだけの無意味な交尾だと知っていながら、ナハトを組み敷き貫きたい欲望がこみ上げつつある。
人間は繁殖目的以外にも交尾をするが、バンツァーは今だに、それだけはどうも理解できない。
交尾とは子孫を残し、種の存続と繁栄の手段であり、それ以上でも以下でもないはずなのに……。
今年の発情期も終わりかけで、相手は卵も産めない小娘なのに、雄の本能が鎌首をもたげそうになる。
誘惑の声に逆らいながら、膣口の合わせ目に、舌をねじ込んでいく。
初めて体内に異物を受け入れたナハトが、大きく身体を震わせた。
前足に隠れた口から、悲鳴じみた鳴き声がかすかに漏れる。
中は予想以上の狭さで、弾力に富んだ蠢く膣肉が、痛いほど舌を締め付けてくる。
蠢く膣内を掻きまわし、溢れる分泌液を啜り飲み干す。
〔お、じさま……ひゃうっ、う、や……やぁ……〕
ナハトの翼がさわめき、バンツァーの腹を擦った。
舌を引き抜き、振り向いた。
ナハトが前足からチラリと顔を半分出し、泣き濡れた瞳で見上げる。
〔どうした。我慢できるのだろう？〕
〔だって……ハァ……これ、あ……痛く……ない……〕
〔当然だ。交尾とは違うからな〕
〔も、もう……止める……ごめんなさい……もう言わないっ……〕
〔もう少し我慢しろ。発情した状態でこの地をうろつけば、リザードマンを引き寄せてしまう〕
〔ふぇっ！？〕
〔なぜか知らんが、ここの奴らは鼻が良くてな。竜族の雌が発情する匂いを嗅ぎつけ、繁殖期の隙を狙ってくる〕
少しでも宥めようと、目端の涙を舐めとり、首で背中を擦り上げた。
〔ん、ん……しょ……なの……？〕
〔ああ。だからこの地には、飛竜も他の竜族もいないのだ〕
再び舌を差込み、もっと熱心にかき回した。
早く終わらせないと、それこそバンツァー自身が困った事になりそうだ。
水音がするほど激しく抜き差しし、前足で尾の付け根も刺激する。
やがて激しい痙攣とともに、かん高い悲鳴が上がった。
小刻みに翼を痙攣させながら、ナハトがくたりと芝の上に脱力する。
ぐしょ濡れの膣口を、刺激しないようそっと舐めて綺麗にしてやった。
〔少しは落ち着いたか？〕
まだ息を荒げていたナハトが、照れくさそうに頷く。
〔うん……ごめんなさい、おじさま〕
〔ナハト、母の記憶が薄れているのは、おぬしが幼かっただけだ。薄情でもなんでもない〕
〔……〕
無言のままバンツァーを見上げる顔を、そっと鼻先で撫でた。
〔さぁ、俺もやりすぎた。厩舎で少し休んだほうが良い〕
促すと、ナハトはよろよろ立ち上がり、厩舎に入っていった。
その後姿を見ながら、バンツァーはひそかにため息をつく。
(死……か……)