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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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精霊人-16

「分かった……約束は出来ないが出来るだけの事はする」

 スランはため息をついて答えた。
 ポロはスランにとってはターゲットだ……約束なんか出来ない。

「それでいい……さんきゅ」

 ゼインは再び月に目を向けて、ポツリと呟いた。

「なあ……あいつとキスしたって?」

「ああ、お前はやめとけよ?」

「何で?」

「噛まれるぞ」

 スランの言葉にゼインは吹き出して笑い、彼を軽く小突く。
 スランもつられて笑いながらゼインを小突き返した。

 カリーがゼインに惹かれた意味……兄弟を裏切り『脱色』してまで一緒に居たい理由……スランにはそれが何となく分かった。


 その頃、南の大陸の暗い地下でひとつの灯火が消えようとしていた。
 地下室には濃い血の臭いが充満している。
 部屋の真ん中には手術台が置いてあり、その上に男が寝ていた。
 男の腹部は不自然に脈動し、その度に男の口からは泡立った血が溢れる。

「ゴボッ……」

 男の喉から不愉快な音がするが、目は濁っいて何も見ていない。
 腹部の動きに操られるように身体がビクビク動いた。

グチュリ

 その腹部が内側から裂けて血が溢れ出し、血と共にぬるっとした生き物が這い出す。
 それは頭の大きい蛇の様な生き物……ただし、肌色の表面には鱗も目も無く、首らしき位置には異様に小さな手が付いている。
 その手は人間の様な形で妙に生々しい。

ケシャアァァ

 生き物は口を開けて声の様な、空気が漏れただけの様な音を出した。
 口の中は乱杭の細かい歯が並んでおり、透明の液体がとろりと流れる。

 その様子をジッと見ていた男が居た。

「ダメでしたか……孵化前に死んでしまっては意味が無い」

 男はブツブツと呟くと踵を返して部屋を出ていく。

「20番、失敗……やはり、ゼロだけが成功例になりますね」

 部屋を出た男はふと歩みを止めた。


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