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恥辱書店 他二篇
【レイプ 官能小説】

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-1

視線の先には、厳しい寒さを感じさせる灰色の雲。
ちらちらと舞う、白い雪。

寂れた温泉宿の一室には、石油ストーブが懐かしい匂いをさせながら赤く燃えている。
部屋の熱気が、窓ガラスをほんのりと曇らせていく。

わたしは自分に絡みつく、赤い線をみつめる。
ほんのりとピンクに染まる肌にくいこんで、わたしの肢体をいろどる、一本の縄。

年老いた先生の手で、わたしの体はとても美しく艶やかに姿を変える。
一糸まとわぬ、生まれたままの姿。
その肌の上を、赤い縄が生き物のように這い、うねり、責め立てる。

 今夜は、両腕を後ろ手に結ばれ、片足を曲げて、股を大きく開いた格好で吊りあげられた。
鏡に映ったわたしは、まぎれもない『オンナ』。


職場では男たちに交じって業績を上げ、同期の中でもハイスピードで昇進し、ときには部下を怒鳴り散らす。
お給料も男たちになんて負けないくらい、満足できるだけの金額をもらっている。酒にも強い。
 そんな自分のことは嫌いなわけではないけれど、ときどき自分が『オンナ』であることを忘れそうになる。

オンナとして意識されたいわけじゃない。
いまさらちやほやされることなど、欠片も望んではいない。

 ただ。 
このまま年齢を重ねて、やがて枯れていくことを思うと、たまらなく悲しいときがある。


先生は、縄師だ。
女性を縛って、さまざまなポーズをとらせ、写真を撮影して出版したり、
ときには個展を開き、ライブをやることもある。

今年の夏、会社の友人に誘われて興味本位で先生の個展を見に行った。
薄暗い照明の中、女たちが様々なポーズをとりながら、裸で縛りあげられている。
衝撃と同時に、写真の中の女たちがひどくうらやましくなった。
恥ずかしい部分を隠すことさえせず、その剥き出しの欲望を惜しげもなく露出する。
自分とは対極にある、その姿。

妖しげな写真たちにわたしはいっぺんに魅せられてしまい、
どうしてもその写真の1枚になりたくて、先生のもとへ走った。

きっと、この気持ちはだれにもわからないだろう。

先生と男女の関係になりたいわけではない。
ただ先生の作品になりたいと、焦がれるこの気持ち。


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