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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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隠し事-5

「1人?良かったら俺らとケーキ食べない?」

 人生初のナンパにポロは戸惑う。

「ね?行こうよ」

 ポロが何も言わないのを良い事に、2人組は調子に乗ってポロの腕を掴んだ。

「!!」

 ポロは必死に首を振って嫌がるが非力過ぎて振りほどけ無い。
 声をあげようにも出ないし、ポロは慌ててゼインとカリーを見たのだが……2人は追いかけっこの真っ最中。
 ポロは思わず脱力してしまった。
 ポロの力が抜けたのを同意と取った2人組はズルズルと彼女を引きずって行く。

(ゼインとカリーの馬鹿っ)

 心の中で罵倒したポロは1人で何とかしようと、必死に足を突っ張った。

「兄さんら、彼女どう見ても嫌がってんぜ?」

 その窮地を救ってくれたのは黒髪黒目の、背の高い男だった。

「うるせえな、あんたにゃ関係ねえだろ!」

 2人組の内の1人が黒い男の前に立ち威嚇する。

「まあ、そうなんだが可哀想じゃん?」

 黒い男、スランはポロに向かって「ねえ?」と首を傾げた。
 間に挟まれたポロは困惑した顔で2人組とスランを見比べる。

 ゼインと追いかけっこをしていたカリーは、視界に入ったその光景に度肝を抜かれた。
 3人の男に囲まれたポロ……その内の1人を見た瞬間、カリーの心臓がぎゅうっと縮む。

「ポロぉ!!」

 悲鳴のような声を上げて方向を変えたカリーに、ゼインは何事かと動きを止めた。
 カリーの視線を追ったゼインは「なんだ、ナンパか」と思ったがカリーの様子がおかしいので急いで後を追う。

(おいおい)

 猛スピードでやってくるカリーにスランは呆れてしまう。
 確かにポロを殺すと宣言はしたが、カリーが喋ったらと言った筈だ。
 大体、こんな人の多い場所で殺る訳がない。
 そんな当たり前の事も頭に浮かばないぐらい興奮しているのか、とスランは舌打ちした。

「ポロから離れて!」

 カリーは腰の後ろに挿してあった短剣を抜いて逆手に持つ。
 スランはザッと右足を下げて半身の体勢になってカリーを待った。

「カリー!!」

 短剣まで持ち出したカリーにゼインは怒鳴りつける。
 その声にハッと我に返ったカリーは、慌てて短剣を捻って腰の鞘に戻した。

ザシャッ

 それでもポロとスランの間に身体を割り込ませてポロを背中に庇う。
 スランは呆れた顔のまま片眉を上げてカリーの勘違いを教えてやった。
 そのちょっとした表情でカリーは自分の間違いに気づく。


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