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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈猛る瞳と擬態する者達〉-3

『よう!じゃあ捜しに行こうか』


いつも通りのグレーのスーツに身を固めた八代は、明るい口調で挨拶をすると、悪戯っぽく敬礼しながら助手席に座った。
つとめて明るく振る舞うのは、麻里子を元気づける為だということは、雰囲気として伝わっていた。
妹や親友が無事でいる保証など、何処にも無いのだから、長女の心中は察するにあまりある。
八代の不器用な心遣いが、麻里子は嬉しかったのと同時に、頼りがいのある異性として胸が逸っていた。






『もうすっかり麻里子さんも刑事が板についてきたね。頼もしく見えるよ』


八代の台詞にお世辞が混じっていたとしても、それは不快とは感じられなかった。
日頃の鍛練に怠りは無いし、妹と親友の救出と犯人逮捕に燃えているのだ。
全身からオーラが立ち上っていそうな雰囲気は、傍目には威圧的にすら見えているだろう。

麻里子は文乃と同じ白のYシャツに黒のスーツ、それに黒いパンプスを履いていた。

数ヶ月前に文乃と二人で買った、思い出の衣服を纏い、新しいコンビの乗った車は走り出した。


「……御祖父様は、私達だけで捜査しろって言うの……美津紀での署内の立場が無くなるからって……」

『………』


麻里子は、祖父に言われていた守秘義務を破り、八代に伝えた。
署の中で唯一と言っていいくらい、四姉妹の事や、あおい姉妹の事を親身になってくれる人物だからだ。


『……春奈さんや瑠璃子さんは?』

「二人は……あまり逮捕術も上手くないし……危険な目には遭わせたくないの……刑事なのに可笑しいわよね?」


瑠璃子と春奈は、あまり刑事としての仕事には向いていないのを麻里子は気付いていた。
推理や洞察力には長けているが、いざ犯罪者と対峙した時は我が身を守るのが精一杯で、とても戦力とは為り得ない。
いつも大勢の警官を従えていなければ、犯人逮捕も覚束ない。

格闘技のセンスが悪く、もしも祖父の言い付け通りに捜査して、犯人達と対峙したなら……その結末は火を見るより明らかだ。


『……文乃さんが乗ってた車、この先の〇〇港に寄った形跡があったんだ……』


その言葉を聞いて、麻里子はアクセルを踏み込んだ。文乃の足取りを辿れば、必ず手掛かりは見つかるはず……その瞳には既に、鋭い光が宿っていた。





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