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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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ダブルデート-1

私は浮かない顔で鏡を見た。


自分の部屋の隅にある、時代遅れの古びた茶色のドレッサーに映るのは、お世辞にも可愛いとは言えない、見飽きたいつもの自分の顔。


それでも、今朝は念入りに顔を洗い、化粧水はたっぷりつけた。


郁美や沙織なら、このあとメイクをバッチリしているだろう。


私だって、メイクに興味はあるし、綺麗になりたい。


でもその気持ち以上に、化粧した顔を友達や同級生に見られることが恥ずかしいし、笑われるのが怖いから、私はいつも洗顔のあとは化粧水だけ。


顔の手入れはこれで終わり、髪の毛も、少し水で濡らしてササッと櫛でとかし、それで終わる。


服装だって適当だ。


本当は、郁美や沙織が着ているような可愛いワンピースやスカートを着てみたい。


でも似合わないのはわかっているから、私が持っているのは、ジーンズなどのパンツと、Tシャツとスウェットなど地味なトップスばかり。


しかも、色合いもモノトーンばかりで、それが余計にクローゼットの中まで地味にさせていた。


私は、ため息をつきながらクローゼットへ歩き、勢いよく白い扉を開けると、くたびれたインディゴブルーのデニムと、地味な無地のグレーのパーカーを取り出し、パジャマから着替え始めた。


かわいくなりたい願望はあるくせに、地味でダサい格好をするとなぜか安心してしまっている自分に小さく舌打ちした。



 ◇  ◇  ◇



自転車を漕ぎ、待ち合わせ場所である、まだできて間もないショッピングモールへと向かう。


沙織の頼みで、大山倫平と土橋修の四人で遊ぶ事が決まったのは、次の日曜日のことだった。


思ったよりも早くダブルデート(と言ってもいいものか)が実行されたのは、一度遊んで大山倫平の気が済めば、メールや電話でのお誘い攻撃がなくなるだろうと言う沙織の思惑からだった。


おかげでこちらはただでさえ男の子に免疫がない上、親友の処女を奪って逃げた憎き土橋修と、心構えが出来てないうちから顔を合わせなきゃいけなくなったのだ。


待ち合わせは11時。とりあえずショッピングモールに集まり、その中のファミレスで昼食をとることになっている。


私は気合い入りすぎてると思われないように、待ち合わせ時間より五分ほど遅れて、足枷をつけられたような重い足取りでショッピングモールの入り口へ向かった。


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