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It's
【ラブコメ 官能小説】

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-4

授業が終わった後、陽向は三人に別れを告げて早足でスタジオへ向かった。
今日は久しぶりの練習だ。

陽向は大学に入ってから高校の頃から仲良かった友達、桑野大介、宮瀬海斗、大久保洋平とバンドを組んでいた。
きっかけは、ドラムの大介に誘われてスタジオに遊びに行った時。
元々違う子がボーカルをやっていたのだが、訳ありで抜けてしまったという。
女ボーカルを探していたらしく、仲が良かったということで陽向が誘われたのだった。
陽向が加入してからバンド名をHI wayに改名。
由来は、その日大介が着ていたTシャツにその文字が描かれていたからという、なんともくだらない理由だ。
結成してから三年間、毎月のように色々なスタジオやライブハウス主催のライブに出ている。
どこの場所でもHI wayは盛り上げ上手で人気だった。
曲はコピーからオリジナルまで幅広く演奏している。
最近は、オリジナルが多いが。

「お疲れー!」
「おー。やっと来た」
大介がスティックを指先で器用に回しながら陽向に笑顔を向けた。
「ごめんね、遅くなって」
いそいそと準備をする。
「準備オッケー?」
「オッケーです!」
陽向が笑うと「うしっ」と言って大介がアドリブを始めた。
「なにやる?」
「新しいやつ、やろっか?」
「いーね!俺、あのベースライン好きー」
海斗がにこやかにそう言った。
いつものように和やかな雰囲気で練習が始まる。
最近は、大介が曲を作り、陽向が歌詞を書くというスタイルでオリジナル曲を作っている。
パンクロックが主で、盛り上げ上手というのは、その曲調も手伝っているからだろう。
1曲目が終わった後、洋平が爆笑した。
「つーかさー、陽向の今日の声めっちゃいい!なに?酒焼け?」
「日曜日に飲んだんだけど、なかなか治らなくてさー」
「ははっ!そのハスキーボイスたまんねー!まー、でも元々少し枯れてたけどね」
ずいぶん前に大介にも言われた。
なかなかいない声だと。
「高くて少し掠れてっけど可愛い声してんね」と。
それを理由にこのバンドに誘われたと言っても過言ではない。
コピーしていたバンドのボーカルの声にそっくりだとはしゃがれたのを覚えている。
「ライブまでに治さないとね」
「あとでのど飴買ってやるよ」
「ありがと」
ケラケラ笑いながら練習を再開する。
その日は21時まで練習し、終わった後はいつものごとく、近くのファミレスに立ち寄った。
「ねー。次のライブ何日だっけ?」
陽向はグラタンを頬張りながら大介に言った。
「25日。給料日」
「えっ!もうすぐじゃん!」
「今更かよ!」
「ちょ…焦ってきた!」
三人に笑われる。
今日は2月20日。
あと五日しかない。
「もっと先だと思ってたー」
「日付を忘れる程忙しいわけ?」
「んーまぁ」
「冬休みのくせにー!」
「あははは」
食べ終えた後は、今後の事や新しい曲の話をして解散した。
帰り際に大介に「歌詞考えといて」と言われた。
最近じゃ勉強なんてそっちのけで歌詞を書くことしかしていない。
「りょーかい」
陽向はニコッと笑って三人と別れて帰路についた。


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