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COLOR
【その他 官能小説】

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COLOR-3


郁美は校内でも有名な美女だった。スポーツも勉強もできるくせに気取らなくて誰にでも優しくて。
郁美の周りにはいつも友達がいて僕の憧れの先輩だった。
僕は郁美に惹かれていると自覚していたけれど、周りにはそんな奴なんか沢山いたし、郁美は手の届かない高嶺の花のような存在だった。
けれど奇跡は起こった。
奇跡なんて信じないタチの僕もこの時ばかりは奇跡は起こるんだと信じた。
…郁美と僕が付き合うことになったのだ。
僕は郁美の告白に舞い上がり、幸せの頂点にたった気分だった。
初めてのキスもSexも郁美とした。
何度も何度もキスを重ね、体を交わし、幸せな毎日を送った。郁美といる事が僕の幸せだった。

…―けれど…いつまでも続くと思った幸せな日々は、前触れもなく突然終わりを告げた。


ある日突然郁美が入院した。
郁美はただの検査入院、と笑って言っていたけれど郁美はもう気付いていた。
…僕が馬鹿だったんだ。
2年間も一緒に過ごしていたのに君の変化に気付いてやれなかった。
少しずつやせていく体を抱きしめてあんなに守ると約束したのに守れなかった。

郁美は癌に侵されていた。…すい臓癌だった。
気付いた時にはすでに転移が進んでいて、余命半年だと宣告された。
すい臓の癌は見つかりにくく、見つかった時には今回のようなケースが多いのだとも聞いた。
宣告を郁美の親を通して僕は聞いた。
恐怖のどん底に叩き落とされた気分だった。
多分郁美の両親もそうだっただろう。
なんで郁美なんだ?
まだ18なのに。
夢や希望をいっぱい持っているのに。
なんでだ?
なんで病気は郁美を選んだんだ?
郁美がいなくなったら…
僕の居場所はどうなる??
頭の中に色んな思いが駆け巡って、入り交じり、今でもこの時の気持ちをどう言い表したらいいのかわからない。

僕は生まれて初めてあんなに涙を流した。
これが運命なのか?
君のいない未来なんて意味がないのに。
これから君を失うなんて1ミリだって考えたくないのに。
運命だなんて言葉を信じたくない。
ふざけるなよ―…
僕は悔しくて涙を流した。
けれど全てを知っていて何もできない自分が一番…
やるせなくて
歯痒くて
許せなかった…―。


目に見えるように弱っていく郁美を抱きしめる事しかできなくて
『大丈夫だよ』
と説得力なんてまるでない笑顔でいうことしか僕にはできなくて…。

ねぇ郁美。
君は最期まで笑顔で強くしなやかな人だった。
それなのに僕は君がいなくなった夏が巡って来る度、あんなに泣いたくせにまだ残っていたのかって言う位また涙が流れて止まらない。
やるせなかった。
いい尽くせなかった。
“君は僕といたあの時幸せだった?”
時間がいくら経ったって意味なんてない。
君の事をまだ僕は思い出になんかできない。
いつになったらこの甘く辛い呪縛から解き放たれるんだろう?


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