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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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彼女の失恋-4

郁美は、ゆっくりブランコから立ち上がって大きくのびをした。


少しひんやりした風が郁美の柔らかな髪をなびかせ、夕暮れのオレンジ色の光がスポットライトのように郁美の細い体を包み込む。


こうして見るとやはり郁美の外見は美しくて可愛くて、同性の私でも見とれてしまう。


外見ばかりが全てじゃない、とわかっていてもこんな可愛い娘を振ったのが、土橋修であることがまだ信じられなかった。


「ねぇ、桃子」


「ん?」


「あたし、やっぱり修とやり直したい。桃子は修と同じ高校でしょ? 修と会えるようにセッティングして欲しいの」


郁美は、申し訳なさそうな顔をゆっくりこちらに向けた、けど。


「無理だよ」


私はそう即答する。


「同じ高校だけど、クラスは全然違うし向こうは私の事なんて知らないし。そういう頼みなら土橋くんの友達あたりにお願いした方がいいよ」


郁美と土橋修の出会いは合コンだったらしいから、彼の友達に連絡をしたほうが早いはず。


「……あたしもそう思って、何人か修の友達にあたってみたんだけど、みんな教えてくれないんだよね。“修に口止めされてる”って……。そこまでするなんてよっぽどあたしに会いたくないんだよね……」


郁美はそう言うと、何かつらい事でも思い出したのか、また大きな瞳を潤ませて唇をキュッと噛み締めた。


そんな様子を見てしまうと、さすがに私も郁美がかわいそうに思えて、土橋修が少し憎たらしくなった。


「そこまでして避けるような男となんでヨリ戻したいの? 絶対性格悪いじゃん。そんな奴やめてもっといい人見つけなよ」


土橋修にもムカついたけど、そんな男にいつまでも未練がある郁美にも少しイライラしてしまい、私は少しキツい口調で言い放った。


私もブランコから立ち上がり、そばに停めていた自転車のカゴの中に入れていたカバンに手を伸ばした。


イライラしてきてやけに喉が渇く。


カバンの中からすっかりぬるくなった飲みかけのペットボトルを取り出し、口に流し込んだ、その時。



「……あたし、多分修にヤリ捨てされたかも」


唐突な郁美の言葉に驚いて、私は飲んでいたお茶が気管に入りむせてしまった。


ひとしきりゲホゲホとむせたのが落ち着いてから、私は郁美を見つめて、


「ヤリ捨て……?」


と言った。


「このまま修と連絡取れないならそういうことになるかも。……あたし、初めてだったけど、修ならいいと思ってたのに……」


再びハンカチを目にあてる郁美をよそに、私は


「郁美、初めてだったの!?」


と、再び驚いた。




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