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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキ!U 『是奈、エースを狙え!?』-8


 〜〜〜〜〜

「おい田原ぁ〜。あの子、今度はラケット振ってるぞぉ」
「はぁ〜! 黒澤っ、お前大丈夫かぁ!?」
「何がぁ」
「彼女達って、テニスをやってるんだろぅ。そりゃ〜……ラケットぐらい振り回すだろぅ」
 そう言う嘉幸の言葉に、信彦は手を ”ポンッ”と叩いて。
「あっそうかぁ〜。……ところで、どこまで話したっけっ」
 相槌を入れると、またしても話の続きに没頭していたようである。
 なんとも、ほのぼのとした、良い天気の土曜日であった。

 〜〜〜〜〜

 一方、是奈達は。

「それじゃぁ中村さーん! 行くよー!!」
 と、是奈も元気に声を張り上げ、いよいよセカンド・サーブ。
 そんな是奈に、テニス部の1年生達も。
『朝霞さ〜ん! がんばって〜〜っ!!』と、黄色い歓声を上げていた。
「よっしゃあーーっ是奈ぁ! 行っけーー! 目にもの見せてやれーーっ!!」
 相変わらず彩霞は、無駄に元気一杯だったりする。
 そして。
 是奈、持っていたボールを天高く、高らかと放り上げて、ラケットを振り翳(かざ)すと、自身の持てる全パワーを右腕
に集中させ、勢い良くその腕を振り下ろした。

”シュバァーーーーンッ! ズバゴーーーーーーンッ”

「はぅあらぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」
 なんと思い切り振り下ろしたラケットが、是奈の手からすっぽ抜け、彩霞の後頭部を直撃!
 彩霞はそのままラケットの勢いに押されて、センターのネットまで身体ごと飛ばされると、顔面からネットに突き刺さり、
バウンドして勢い良くコートに倒れ込んだ。
「グハァッ…… もっ…燃え尽きた……ぜっ…… ”ガクッ”」
 これは効いたぁーー! 彩霞っ立てなーーいっ!! カンカンカンカンカンッ!
「ヒエーーーッ! 中村さーん! 中村さーん! しっかりしてぇーー中村さ〜〜〜んっ!」
 是奈は倒れた彩霞を必死に揺さぶるも、彩霞は白目を剥いて、泡を吹き、微動たりともしない。
 慌てて駆けつけた、部長の美香も、
「立てっ! 立つんだ中村っ!!」
 と、叫んでみたものの、彩霞の反応は既に無く。どうやら、是奈と美香の必死の呼びかけも虚しく、彼女はそのまま気を
失って居た様子である。
 そして彩霞の後頭部は、まるで鏡餅の様に見る見る腫れ上がって、見事なタンコブが出きあがって居たのだった。
 そんな悲惨な彩霞の姿を見て、対戦相手の玲子と和美は抱き合って、
「ひっ秘密兵器……なんて恐ろしいぃ……」
「玲子さぁ〜ん、わたし怖〜〜いっ!」
 そんな事を叫びながら、二人とも青い顔をして震え上がって居た。
 都子と真由美、それに応援して居た1年生達は、一斉に胸の前で十字を切ると、ただただ、彩霞の冥福(めいふく)を祈
るばかりだった。……アーメン。

 開けて翌々日、月曜日の放課後。

 結局もって、とんだアクシデント続きだった『藤見晴高校女子テニス部』は、宿敵『条東学園女子テニス部』に惨敗を期
し、散々な試合結果に終わったようである。
 そして是奈は、彩霞を病院送りにして、符と気がつけば、憧れの『田原 嘉幸』の姿も何処にも無く。恐らく、呆れ果て
て帰ったのだろうと、テニス部部長である『栃本 美香』に、
「せんぱ〜い! 栃本せんぱ〜い! あたしどうしたら良いんですかぁ! きっと田原くんってば『俺は仲間を後ろから撃
つような、卑怯者は嫌いだぜっ!』って言って、あたしのこと嫌いに成ったに違いないんです〜! 何とかして下さぁーい、
せんぱ〜いぃ!!」
 そう言って泣き付いて居た様子だったが。
 言われた美香は。
「まあまあ朝霞さん、少し落ち着きましょうね! それにわたし……責任は全て取るとは言ったけど、そう言う込み入った
問題はぁ……わたしにはちょっとぉ……そのぉ…… やっぱりそう言う問題は自分で解決しましょうねぇ〜。ウフフゥ〜ッ」
 てな感じでもって逃げられて、今日は朝から。
「終わったのよ〜…… きっと何もかも終ってしまったんだわぁ〜……」
 と、まるで魂の無い抜け殻の如く、伏せ込んでブツブツ呟いて居るのみであった。


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