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クリスマスブルー
【OL/お姉さん 官能小説】

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クリスマスブルー-5

床材のようなコートを脱いだマキはわざと白いセーターの下のオッパイを触らせて、「触った」だのなんだのとじゃれつき始めたら、もう二人はその時点でフェードアウトしてしまった。

ボソボソと二人だけで会話してるのも目障りになってきたところでマキは一度トイレに立ち、長身君がようやく会話の中に入ると戻ってきて今度は向こうの部屋が見たいと酔っぱらいのフリをする。

フリというのは私だから断言できるけど、マキは酔っぱらうと所構わず寝てしまうのだ。

「えーっ!散らかってるぜ。
だって、ここにあった物ぜんぶ隣に投げ込んだんだから。」

部屋主君が言い終わる前に仕切りの襖を開けてマキは中を覗き込んだ。

「わぁ、広〜いっ!」

私の座っている位置からは見えなかったけど、あまり荷物がなかっただけだろうと思う間取りからして、せいぜい六畳ぐらいではないだろうか?

私は不覚にもそれまで気がつかなかった。
長身君の手を引いて中に押し込もってしまったマキはつまり長身君とヤリたくなったという事なのだ。

残された三人はまた新しい缶を開け、冷や奴に何をかけて食べるか?などとつまんない話を続けてる。

「だいぶ酔ったみたいだね。
少し横になればいいだろう。」

お豆腐にブルーベリージャムを主張した学生君が静かになった隣室を気遣った。

「はぁっ…はぁっ…あぅっ…」

誰も覗きに行く勇気がなかったものだから、ついにはマキのよがり声が本当に微かではあるが隣部屋から確実に漏れ出す。
そのたびにこっちの部屋には何とも言えない空気が淀んでいた。

とりあえずマキの親友ではあるけれど、セックスの時の声を聞いたのは初めてだった。

「俺…そろそろ帰るわ。
ザコ寝もつらいし…」

学生君が立った。
部屋の主は何事もなかったかのように見送って玄関先でタバコに火をつけると他愛ない会話をしばらく交わしていた。

気にしないでいようと努めてはいたが、ひとり取り残されると隣室が気になって仕方がない。

そこはすっかり静まり返って、さっきから物音ひとつしなくなった。
私もマキを置いて帰ろうかとも思ってはみたけれど、すでにこの時間になったらタクシーでも呼ばない限り帰るすべはないのだ。

「何かいる?」

「ううん…あの…ごめんね。」

私は静まり返った隣部屋を目配せしてなぜか彼に詫びをいれる。
詫びというより労いの言葉に近かったように思う。

ガラス冊子は下半分が擦りガラスになっていて、男性の部屋にしては綺麗に磨かれていた。
ここはバルコニーが突き出ているだけでベランダがないのが不思議に思える。

外は12月の深い空が寒々と広がり、昼間ならたぶん海まで見えるのかも知れない。

やる事済ませて二人とも眠ってしまったのかと思っていたが時折、隣室からガサッと音がする。
上手く口説くなら、私も彼に抱かれてやってもいいかと胸を高鳴らせながら思っていた。
だが、二人とも途切れた会話を他愛もなく繋ぎながら気持ちは隣室にいってしまって、馬鹿馬鹿しいこの空気に耐え難くなってくる。


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