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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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期末テスト=恋人検定テスト!?-3


慌てて言い繕う。
「あ、で…でも、あれはもうしっかりくっきり後腐れなく完璧に解決して二人はどこからどうみてもパーフェクトバカップルだから大丈夫だと思うよ俺は!!」
「だ、誰がバカップルだっ!!」
そんなに人前でイチャついたことないはずだが……。
「あら、バカップルと言う言葉は誉め言葉ですよ、白雪さん。恋人のいるいないに限らず、見た人が呆れるほど仲の良いと言うことではありませんか」
…それなら、もっとこうマシな言い方は無かろうか?馬鹿ってついてるし、馬鹿って。
「まぁ良いでしょう。とりあえず、彼氏さんには後で会わせてもらうとして……」
母さんが不意に言葉を切って、孝之をジッと見た。孝之は居心地の悪そうに目を泳がす。
そして、母さんは口を開いた。
「孝之さん、約束はもちろん守って下さいましたよね?」
瞬間、孝之はギクッと肩を震わした。わかりやす……。
「も、もちろん!!」
「……約束?」
話の見えないアタシは母さんと孝之を交互に見ながら呟いた。
「えぇ、約束です。『白雪さんの彼氏さんに手を出さない』と言う約束です」
……なるほどね。
孝之の同様は最高潮に達しようとしていた。
「白雪さん、どうでしたか?」
あ〜……、どうしようかなぁ。ここで孝之を突き出すと、間違いなく孝之は母さんに必殺されるだろうし。
かと言って、アタシがかばった後にバレたらアタシも必殺されかねないし……。
母さん、約束破ったり、嘘つたりする人間…大嫌いだからなぁ。
……………、よく考えりゃ、アタシは被害者だぞ。なんだ、悩むことなんてないな。
「出した。しっかりと」
孝之、憲とアタシの為に死んでくれ。骨はちゃんと拾うから……拾えるだけの形が残ってたらだけど。
ガタッ、と母さんが恐怖の笑みを満面に浮かべて立ち上がる。
あ、思ったより怒ってらっしゃる。し、し〜らないっと。
「ま、ままま待った。あ、あれはだね母さんあれは憲が白雪の事をどれだけ想ってるか試しただけでって聞いてる?聞いてる母さん?すぐに諦めたって言うか試し終わったって言うか、ね。ねっ!」
孝之の必死の説得で、母さんの笑みも少し和らいだ。
でも、まだ怒りが強いな。
「孝之さん、手を出してください。右手……あ、やっぱり左手を」
あ、あれだ。
「孝之さんの利き手は右手でしたよね?使えなくなったら流石に可哀想ですので」
「まさか……」
「はい。『ニギニギの刑』です」
おぉ、思ったよりずっと軽いな。バキバキの刑ぐらいくると思ったのに……。
「いや、でもあのそのしかし」
「出しなさい…」
「う、はい……」
賢明なる読者のみんななら、もうわかってると思うが、『ニギニギの刑』とは握手して片方が片方の手を握り潰すぐらい強く握る刑だ。あれがまた痛い。
母さんの握手、100近いし……。
「では……失礼して」
「うぅ………ギャアァァアァ痛い痛い痛い痛い痛い死ぬぅ、アガガガガ…………ギャーー!!」
うわぁ、グリュグリュしてる。あれが痛みを倍増させるんだよな。
「………………!!」

ついに痛みで無言になる孝之。
自業自得とは言え、ちょっと同情……。
母さんが孝之の手を離すと同時に、孝之は左手を押さえながらガクッ、と膝をついた。
孝之、悶絶死か?
「……では、白雪さん」
え、あ…アタシもか!?
急に母さんがアタシを見るので、そんな風に不安になったが、予想は違っていた。但し、別の意味で不安にさせる言葉だった。
「彼氏さんを呼んで下さい」
「へ……憲を?」
「そうです。今すぐ」
い、今すぐって……。まさか、孝之と同じ事するんじゃ……。
マズイ……。
「あのさ、母さん。今日は日曜だから憲も」
「呼んで下さい」
「いや、憲も忙しいかもしれないから、また今度ゆっくり落ち着きながら…」
なんとか考え直させようとしたが、無駄だった。
母さんはズイ、っとアタシに詰め寄って。
「呼んで下さい」
「……はい」
憲、母さんの迫力には勝てないよ(泣)。


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