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ボーイミーツガール
【複数プレイ 官能小説】

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ボーイミーツガール-3

 蔵人先輩も、引き戸を閉めて、明かりの点いてない暗い部屋の中へ入ってきた。

 思ったよりも奥行きのある広い部屋の中を見回すと、向かって左側には、小さなガラス瓶がたくさん収納された白い戸棚と何やら書類が詰まった金属製のロッカーが、その奥には大きな事務机があり、肘掛けと背もたれが付いた黒い大きなデスクチェアと丸い回転イスが、その前へ無造作に置かれていた。
 右側の方には、簡易式のパイプベッドが2台、周りを仕切ることが出来るようになったカーテンの脇へ、それぞれ人が入れるだけの間を空けて並べてあった。ベッドの向かい側の一角は備品置き場にでもなっているのか、つい立てに遮られていて、ここから見ることはできない。
 どうやらここは寮の医務室みたいな部屋なんだろうけど、ありがちな消毒液の匂いがしなかった。その替わりに、薔薇の花と線香の煙が入り交じったような感じの香りが仄かに漂っていた。

(あれ? 誰もいない……)

 さっき、確かに女の人の声がした。訝しく思ったボクが蔵人先輩の方に向き直ろうとしたソノ時、けたたましくも麗しい笑い声が薄暗い部屋の中に響いた。

「ホーッホッホッホッ! 速水せいじ、よく来たわね!!」

 いったい何事かと思って声がした方を振り返ると、つい立ての向こうから黒い影がぞろぞろと姿を現した。

「<ピー音>ーーー、フラーーーッシュ!!」

 少し間の抜けた掛け声とともに、つい最近、何かの拍子に口ずさんだことがあったかもしれないアップテンポのBGM(インストゥルメンタル・バージョン)が、どこからともなく鳴り始めて、黒い影の中心にパッと明るくスポットライトが当たった。

「き、キミは……」

 見覚えのある制服姿が、ほんの一瞬だけボクの目に映ったような気がしたが、確かめる暇も与えられず、ソレは、あっという間に紅白の太い縞に染め分けられているヒラヒラした布の向こうへ隠されてしまい、ボクは呆気にとられて、その場に立ち尽くした。
 スポットライトの強烈な光の中には、歌舞伎に出てくる黒衣(くろご)のような、奇妙な格好をした人が2人、フラフープから吊られた着替え用の簡易カーテンのような物を両手で持ち上げながら向かい合っている。紅白の布の下の隙間からは、踵が高い黄色のライダーブーツを履いた足先が2つ覗いていた。

 これは『空中<ピー音>固定装置』を使った “変身” の最中なんだろうな、きっと。

 どうせ暗いところから出てくるんだから、最初からソノ格好をしておけばいいんじゃないのかと思ったのも束の間、意外と早く “変身” は終了した。恐らく、上に着ていた制服を脱いだだけなんだろうけど。2人の黒衣が同時に手を離すと、紅白の布が足下へストンと落ちた。

 姿を現したのは、上半身が真っ赤で下半身が真っ黒の、ピッタリとからだにフィットするレオタードのようなコスチュームを身に着けた木更津エリーちゃん(仮)だった。ボクとしては何だかすごく悔しい気もするんだけど、めちゃめちゃかっこ良くキマっている。コレはもう、さすがと言うしかない。
 赤毛のウィッグも含めて、完全オーダーメイド仕様なんだろうなぁ。かなりのお金がかかってるのは間違いないところ。でも『聖女』に通ってるくらいだから、相当にイイトコのお嬢さんなんだろうし、そんなコトには、ちっとも感知してないに決まっている。

 プックリ盛り上がったおっぱいの谷間がパックリと空いたセクシーすぎる出で立ちに、ボクの視線はバッチリ釘付けだ。それでも、何とか気を取り直して “お約束” のセリフを口にした。


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