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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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拾い物-11

バキッ

 そのカリーの髪を掠めて、屋根に黒づくめの剣がめり込んだ。
 飛び散った屋根の破片が頬に当たり、一筋の赤い血が滴る。

「中々やるな……面白い」

(こっちは面白くないぃ〜)

 思った以上に腕のたつ黒づくめの言葉に、可愛く笑顔を返したカリーは内心慌てるのであった。

 その頃、ゼインの方はと言うと。

「退け退けぇっ!!」

 屋根から飛び降りていた。

「うわわわっ」

 屋根を見上げながら追いかけて来た残りの黒づくめ3人に気づいたゼインは、そこを狙って飛び降りたのだ。
 まさかこっちに飛び降りて来るとは思って無かった黒づくめ達は、大慌てでその場から逃げる。
 ゼインは左手でポロをしっかりと支え、飛び降りながら右手で背中のバスタードソードを引き抜いて黒づくめの1人に狙いを付けた。

「でああぁっ!」

ガキインッ

 バスタードソードは狙われた黒づくめに当たる事は無く地面に叩きつけられ……その瞬間。

ブワッ

「!!?」

 物凄い衝撃波が起こり、黒づくめ達を吹き飛ばした。
 バスタードソードを叩きつけられた石畳はボコリとへこみ、放射線状に亀裂を走らせる。
 とても人間技とは思えない光景に、吹き飛ばされて地面に転がった黒づくめ達はゴクリと生唾を飲み込んだ。
 衝撃波を利用して痛み無く地面に着地したゼインは、剣呑な視線を黒づくめ達に向ける。

「ひ、引けっ!!」

 ゼインの異様な力にすっかり呑まれてしまった黒づくめ達は、慌てて逃げ出した。
 命を狙われた方としては捕まえて拷問してでも理由を聞きたかったが……担いだポロが伸びきってしまったので諦める事にした。
 狙っているならまた追ってくるだろう。
 ゼインはポロを近くのベンチに寝かせて、屋根を見上げた。

(カリー……)

 今みたいなレベルなら黒づくめ達に後れをとるような女ではないが……ゼインは祈るような気持ちでカリーを待つ。


 頭上に振り下ろされる剣をトンファーで弾いたカリーは、一歩踏み込んで黒づくめの懐に潜り込んだ。
 そのままアッパーを突き上げたのだが、黒づくめは仰け反ってそれを避ける。
 同時にその場を飛び退いた2人は少し息を吐いた。
 その時、2人の耳に声が届く。

「引くぞ」

 それを聞いた黒づくめはチッと舌打ちをして剣を鞘に収めた。


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