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Twin's Story 10 "Cherry Chocolate Time"
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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チェリー-2

 12月4日。
 「誕生日、おめでとー!」ケネスの家の離れの一階の広いリビング。ケネス夫婦、アルバートとシヅ子、海棠一家、そして主役の健太郎と真雪がテーブルを囲んで祝杯を上げた。
 「ハニーたちも大人の仲間入りやな。おめでとうさん。」シヅ子が微笑みながら言った。
 「こういう時は便利やな。」ケネスが言った。
 「何がだよ。」ケンジがワイングラスを片手に訊いた。
 「うちがこんな商売やってることやんか。」
 「確かにね。」ミカが言った。「ケーキもスイーツも自由自在だからね。」
 「ケン兄、春菜にはいつ祝ってもらうの?」真雪が訊いた。
 「ルナとは明日会うことになってる。」
 「ほな、ケーキ、持っていき。」シヅ子が言った。「春菜さん、スイーツ好きなんやろ?」
 「うん。ありがとう、グランマ。」
 「そうそう、今年もできたよ、」マユミが龍に向かって言った。「『Cherry Chocolate』シリーズのチョコレート。」
 「ほんとに?」
 「ああ、来週から発売開始や。」
 「形の崩れて使えなかったのがこれ。食べてみて。味は変わらないから。」マユミが白い皿に盛られた、加工済みの赤いサクランボを見せた。
 「どれどれ。」龍が手を伸ばした。
 「そっちはラム酒漬けだぞ。」ケンジが言った。「子どもは食べちゃだめだろ。」
 龍は構わずそれを口に放り込んだ。
 「うまい!うまいじゃん。からいけど。」
 「お前、本当にわかって言ってんのか?」
 「龍はあと四年、待たなあかんなあ。」シヅ子が言った。
 「お前はこっち。まだこっちで十分だ。お子ちゃまなんだから。」ミカが言って、砂糖漬けのサクランボを龍に与えた。
 「二十歳になったって言ってもさ、ケン兄はともかく真雪はお酒、飲めるの?」龍が隣に座った真雪に目を向けた。
 そのまた隣に座っていた健太郎が龍を睨んだ。「なんだよ、『ケン兄はともかく』って。」
 「ケン兄、飲んだことあるんでしょ?お酒。」
 「ないね。」
 「ほんとにー?」
 「ビールは苦いしワインは渋い。まだうまいとは思わないね。」
 「飲んだこと、あるんじゃん。」
 「ま、無理せんでも、そのうちうまいと思えるようになるがな。」ケネスが言った。
 「と言うか、必要になる時が来るよ。」
 「必要な時って?」真雪がケンジに訊いた。
 「仲間と盛り上がる時、寂しくて泣きたい時、昔を懐かしむ時、いろいろな場面でな。酒が助けてくれることは多いぞ。」
 「そうなんだ。」
 「でも、」ミカが言った。「気をつけないと、酒に飲まれて、不本意なことをしでかすこともあるから気をつけな。」
 「それって酔っぱらってわけがわからなくなる、ってこと?」真雪がおかしそうに言った。
 「それだけやのうて、」シヅ子が口を開いた。「酔った状態ってな、自分の心が迷ってしまう時があんねん。」
 「迷う?」真雪が訊いた。
 「そうや。もうどうでもいい、とか、なるようになる、とか、やけになってしまうことがある。そうなったらちょっと困ったことになるなあ・・・。」
 「そうだぞ、そんな酒の飲み方だけはするなよ、真雪も健太郎も。」ミカが言った。
 「お前が言うか。」ケンジが言った。
 「酒は心を迷わす・・・・、か。」健太郎が隣でつぶやくのを、真雪はこの時、ほとんど他人事のように聞いていた。


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