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ゼビア・ズ・ショートストーリー
【ファンタジー その他小説】

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ハーモニカの君-3

 それから数日後の夜……今夜は2つの月がどちらも満月で、ハーモニカ日和だ。

「今日は歌えよ?」

「分かったわよ。歌えばいいんでしょ?歌えば」

 イズミはぶすくれた顔でしっしとドグザールに向かって手を振る。

「ぶわぁか、んな顔で歌うな。俺に歌うつもりで歌え?いいな?」

 ドグザールはイズミの額をピッと指で弾いて窓から屋根伝いに塔へと向かった。
 今、彼に歌うつもりで歌ったらダミ声になるかもしれない、と思いつつイズミは弾かれた額を擦ってテラスに出る為に防寒対策を始める。

 暫くするとハーモニカの音色が城に響いてきた。
 テラスに出たイズミは冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んで歌いだす。


ーどれだけの夜を過ごしたら、貴方に出逢えるかしら。

ーどれだけの星を数えたら、貴方に届くかしら。

ー幾千の時を超えて紡ぐ銀の恋糸……幾万の時を巡り紡ぐ金の愛糸……。


 ここで間奏が入り、次は男性パートになる。
 イズミはどうしようかと考えた結果、男性パートは歌わずにハーモニカの音色を聞く事にした。
 そして、男性パートが始まる。


ーどれだけの朝を迎えたら、君に出逢えるだろう。

ーどれだけの雲を数えたら、君に届くだろう。

ー幾千の時を超えて紡ぐ銀の恋糸……幾万の時を巡り紡ぐ金の愛糸……。


 驚いた事に、男性パートの歌声が聞こえてきた。
 ハーモニカの音色は止まらず響いているので、歌っているのはドグザールではない。
 いったい誰が……と思ったが直ぐにハモりのパートに入るので、イズミは考えるのをやめた。


ー痛みを抱え眠る貴方を

ー閉じた瞳から涙を流す君を

ー優しく……強く……包む帳(とばり)を今……。


 イズミは歌いながら気付いた。
 男性の声はあちこちから聞こえてくる。
 城の廊下から……中庭の隅から……騎士団宿舎から……更に、歌い続けていると女性パートまでも人数が増えていった。



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