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死神孫受け業
【ファンタジー 官能小説】

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赤い傘の少女-1

わたしは赤い傘を開いて病室の入り口に立ったわ。
白いコートの襟をちょっと直してからドアを開けた。
このとき誰かに見られることもあるの。
この世に降りるときと抜け出るときに一瞬だけ実体化するから。
だから私が死神だと間違えられることがよくある。
私を見てその男は驚いた。お迎えの者だとは分からないから無理もない。
彼は年取って寿命が尽きかけている。
私の姿は彼だけにしか見えないから、他の者が入って来ても大丈夫。
彼が契約した時の記憶を取り戻すのは私が投げるダーツが胸に刺さったとき。
私は彼にダーツを投げた。
ダーツは見事的中。そして彼の魂は本体をベッドに残して起き上がった。
「来てくれたんだね。約束通り赤い傘をさして白いコートで!」
彼は嬉しそうだった。
別に約束したのはわたしじゃないけれど、一応うなづいてあげたわ。
「ああ、本当に噂の通りだ。君はなんて美しいんだ」
お爺さんに褒められても嬉しくはないけど、悪い気もしなかった。
だって本当のことを言われて怒る理由はないものね。
わたしは彼に赤い傘をさしかけて相合傘のサービスをした。
「それじゃあ、胸に刺さっているダーツを返してもらいますね」
わたしが抜こうとすると、彼はにっこり笑って言った。
「ああ、自分で抜きます、これくらい」
そう言ったので手を出して受け取ろうとすると、いきなり彼は私の胸にダーツを突き刺したの!
「あっ、な……何をするんですか?」
見る見る彼は若い男に変身して私の体を掴まえた。
「ふふふふ、騙されたね。ハニエルさん。
このダーツがキューピッドの矢と同じ働きもするということを僕は知っていたのさ。
もう君は僕に恋してしまった。僕も君に恋している。このダーツのせいでね。
だから君はもう僕のものだ。僕は君と交わって昇天する最高の臨終を選ぶんだ」
わたしは驚いた。だって、わたしがハニエルだってことを彼が知っていたから。
「驚いているね。でも僕は間違ってあの世に連れて行かれたとき、色々調べたんだよ。
死神の奴が手続きでもたもたしている間にただぼんやり待たされていたと思うかい?
ラシュヌが審判して善行が多かった時に迎えに来てくれる美少女はハニエルというエンジェルだってことも、他のエンジェルから聞き出したんだ。
だって僕は死んだ人間だから情報が漏れる心配はないと思わせたからね。」
そう言うと、彼は私の白いコートを脱がせようとした。とても強い力だ。
「いけません。わたしは、て……天使ですよ。誰にもこんなことを許したことは」
「と言っても、天使の力は今は出ない筈だよね。もちろん中性にも男性にもなれない。
だから僕に逆らえないんだよ、君は」
「天使を犯す積もりですか! その罪は重いですよ」
「残念でした。審判はもうすんでしまったんだよ。
審判の後に罪を問われることはないんだ」
「色々知っているんですね。
で……でもあなたは心を入れ替えて善行を積んだではないですか」
「そうだよ、これがしたくて、無意識の中で善行を積むように刻み込んだからね」
「もう一度言います。私は天使です。こんな暴挙は許されません」
「天使を犯すから楽しいんじゃないか。
君だってもう、体が僕を欲しがっている筈だよ。天使のくせに素直じゃないんだから」
そう言いながら、彼は乱暴に白いコートのボタンを引きちぎって前を開いた。
そしてコートを途中まで下げると絞り上げて、私の腕が動かないようにした。
「ああ、その唇は堪らないなあ。花びらのようだ。ちょっと味見させてもらうよ」
「うぷ……むぅ……やめ……らめ……らめれすぅ」
彼はわたしの口に舌を入れて頭を揺すった。それが激しすぎてて目まいを覚えるほど。
でも、負けちゃ駄目だ。わたしは元栄光の天使ハニエルなのだから。プライドを守らなければ。
人間に天使が犯されるなんて、それだけは絶対避けなきゃ。
彼が素敵に見えるのは胸に刺さったダーツのせいだ。
胸がキュンとするのもダーツのせい。負けちゃ駄目だ。
 


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