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たねびとの歌
【ファンタジー 官能小説】

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やくざ母娘-5

わしはそれからしばらく休んだ後、約束通り帰されることになった。
サツキ姐さんは若い衆たちと門の前で見送りながら言った。
「私どもがご一緒するとあなた様もご迷惑でしょうから、ここでお別れ致します。
どうぞ帰り道お気をつけてお帰りになってくださいまし」
そう言って若い衆一同と深くお辞儀をした。
わしはしばらく歩いてから振り返った。ちょうど傍らの若頭のような男にサツキ姐さんがなにやら耳打ちしているのが気になった。
そしてしばらく歩くと果たして誰かに尾行されているのに気づいた。
わしは角を曲がったときに尾行をまこうと走ったが行く手を塞ぐ男の姿を見て立ち止まった。
行く手に現れたのは頬に傷の有る中年の男と派手なアロハシャツの若い男だった。
「おい、種つけの爺さん。いったいどこに逃げようって言うんだ。
良い思いをしやがって、ただで済むと思ってんのか?」
わしが逃げずに立ち尽くしていると、後ろから白いスーツの若い男が追いかけて来た。
「急に走り出しても、無駄なことなんだよ。そんなことはお見通しなんだ」
頬傷がわし近づくと言った。
「俺の持ち物はなあ、苦労して真珠を7個も埋めたんだ。
組長が死んだ後、俺が姐さんを喜ばせてやろうと狙っていたのによう、役に立たなくなってしまって、爺イのお前に横取りされたのよ。どうしてくれるんだ。」
どうしてくれるんだと言われても、返事のしようがない。
それよりもこれはサツキ姐さんの命令なんだろうかと思った。
あのとき若頭に耳打ちしたのは、わしの口を塞ぐためかと思ったのだ。
いきなりアロハがわしの股間を掴んで強く握り緊めた。
「てめえ、よくも俺達のあこがれのカンナお嬢さんを」
「痛い。苦しいから離してくれ」
「離すもんか。ほら、言ってみろ。カンナお嬢さんはどんな感じで声を出したんだ。
教えるまで離さねえ。」
「それを聞いてどうするんだ?」
「それをおかずにしてせんずりをこいてやる。だがそれじゃあ気がすまない」
「どうする積りだ」
「命までは取らねえ。あそこをちょん切って猫の餌にしてやらあ」
わしは気が遠くなった。するとゴンと音がした。
「痛え! 誰だ石を投げたのは」
アロハが叫ぶと男達が飛び出した。
男達はたちまち3人を捕まえて地面に座らせた。
「真珠を7個入れた持ち物で私を喜ばそうって?」
そう言って現れたのはサツキ姐さんだった。
「こんなこともあろうと、お前達の後をこっそりつけさせたのさ。
種人さんにとんだ逆恨みだ。
大切なお方に害をなそうって、この不始末どうけじめをつける積りだ。
お詫びに命(たま)を差し出すかい?」
「姐さん、許してくれ」
すると今度はカンナが現れて、アロハと白服に言った。
「いつから私のことを憧れてくれって頼んだい? 
わたしのよがり声をおかずにして何をするって?
気色悪いこというんじゃないよ。
大切な方のあそこをちょん切るなんてとんでもない。
代わりにお前のをちょん切って、それでチャラにしてやろうじゃないか」
「お嬢さん、そればっかりは勘弁して下さい」
「いいじゃないか、どうせ役に立たないんだから猫に食わせても」
わしはとんでもない怖い女たちとセックスしたんだなと思って震え上がってしまった。
その後、二人の女はがらりと優しい顔になってわしを見たんだ。姐さんは言った。
「種人様、怖い思いをさせて申し訳ありません。
こうしないとこいつらがいつあなたを襲うか分からないものですから。
でも、もう心配ありません。ご安心くださいまし。……カンナ、あれを」

今度はカンナが可愛い紙袋を差し出した。
「私が昨日焼いたクッキーです。あまり上手ではないけど食べてください。
中に手紙とかも入ってますから読んでください」
わしはそのまま受け取ると家に帰って中を開けた。
確かに形のいびつな……それでも味は結構良いクッキーが入っていたが、大部分は札束だった。
 そして紙切れに走り書きの手紙も。そこにはこう書いてあった。
『もし女の子だったら、また種付けに来てね、お爺さん。カンナより』 


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