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たねびとの歌
【ファンタジー 官能小説】

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やくざ母娘-1

それからしばらくしてミツナ女史がわしのところに訪ねて来た。
「その節はお世話になりました。これはご主人様があなたにお渡しするようにと」
そう言って、目の前にお菓子が入った箱を置いた。
「それから、あなたをその後観察していたところ、例のことは誰にも喋っていないようですね。
引き続きそうして口を閉ざしていれば、何もおこりません。
でも、もし軽はずみなことを言えばお分かりですね。あなたは種人を続けられなくなります。
生きているから続けられることって沢山ありますよね。では」
ミツナ女史はそう言うと一礼して出て行った。
わしが菓子の箱を開けると、ぎっしり真新しい札が詰まっていた。
お菓子は入ってなかったので、わしはそれを眺めながらお茶を入れて飲んだ。


わしは町を歩いていた。しばらくあれをやっていない。
だが溜まったら自分で処理すれば良い。それが一番安全だ。
いつかのときの老人のように娘っ子達に襲われるのはご免だ。
歩いていると向こうから来た物凄い美人がすぐ目の前で立ち止まってしゃがみ込んだ。
顔を顰めて低い声で唸っている。お腹に手を当てているようだ。
「あのう、あなたどうしたんですか?」
わしは腰を曲げて覗き込んだ。
「急に苦しくなって、ここです」
といきなりわしの手を掴んで自分の腹に持って行った。
わしは引っ張られて前のめりに転びそうになったほどだ。
するとその女はさらにわしの手を引っ張って股間に持って行って叫んだ。
「いやーん、そこは駄目!」
わしが慌てて手を引くと、男達が走って来て囲んだ。
「おいおい、人の女をどうしようってんだ?」
男達を見ると絵に描いたようなやくざ者ばかりである。
しかも非常に古典的な方法でわしを捕まえてくれた。
それまでしゃがんでいた女は立ち上がると男達に言った。
「連れて行きな」
わしは車に押し込められながら、こんなことしなくても普通にさらって行けば良いじゃないかと思った。
どうもこの職業の人たちは人をさらって行くにもお決まりの手法というのがあって、そうしないと落ち着かないらしい。
大きな門のある瓦屋根のお屋敷に着くと、畳の間に連れて来られた。
正面に先ほどの女が着物に着替えてキセルを吹かしている。
そして両脇には男達のごつい顔が2列に並んでいる。
「闇で種付けをしているそうじゃないか。誰に断って商売してんだい」
女は姐御か女親分らしかった。
わしがどう返事をしたら良いか考えていると、さらにこう言った。
「いったい幾らでやってるんだい。言ってみな。」
それでわしは一呼吸してから口を開いた。
「謝礼を要求したことがないよ。
向こうが好意でお金をくれる場合もあるけど、貰わなかった場合もあるんだ。
だから額は決まってない。もとより商売している訳じゃあない。
頼まれたからしたまでなんだ。あんたも希望するのかい」
すると4・5人の男達が立ち上がった。
「この爺イ! 口の利き方を気をつけろ」「姐さんになんてことを言いやがる」
女はそういう男達を手で制して一喝した。
「お前達、騒ぐんじゃない。
この老人はどうやら欲得で種付けをしている訳じゃないらしいね」
姐さんと言われた女は立ち上がるとわしの傍まで歩いて来るとピタッと座ると手をついた。
「とんだ心得違いを致しました。改めてご挨拶致します。
私、神林組の組長神林藤次郎の未亡人神林サツキと申します。
あなた様にお願いがあります。神林組に男の跡継ぎが欲しいのです。
ですから私と、私の娘にあなた様の種をお分け下さい。
きょうは二人とも受精可能な日です。
お引き受け頂けますか? 
それとも私どものような稼業の者には分ける種はないとでも?」
そういうと顔を下げたまま上目遣いに三白眼を光らせた。
まあ、お願いしていると言っても半ば強制的な感じだなと思った。
「おい、一体どうなんでい! 姐さんが頭を下げてんだ」「返答次第じゃ……」
「お黙り! 私が話してんだ。静かにしたらどうだい? お返事ができないだろう」
五月姐さんは子分どもと絶妙の呼吸で飴と鞭の両面攻撃を仕掛けてくる。
わしは笑って言った。
「わしは……この通りの老人だ。若いときほど元気がない。
こっちの方も立つときは立つが、全然役に立たないことも有る。
こればっかりはその時になってみなければ分からないんだ。
だから頼まれればやってはみるが、うまく行っても行かなくても1回こっきりでわしを解放してくれると約束するなら引き受けても良いが……」
その後沈黙が続いた。男達は何も言わずに息を潜めている。
するとサツキ姐さんは濃い眉を心持ち上げながら言った。
「宜しいでしょう。お約束しましょう」
ほっとした吐息のような気配が周囲に漂った。これで契約は成立したのである。
わしは奥の離れに連れて行かれた。周囲には男達が立って守っている。
「種人様の気が散るといけないから、なるべく離れて警護しておくれ」
「はっ、わかりました。姐さん」
姐さんに言われて離れの警護をしていた若い者は気を利かせて遠くに離れて行った。
中に入ると一人の少女が白い襦袢姿で座っていた。すでに布団も3つ敷いてある。
「養女のカンナです。藤次郎が外で生ませた子を引き取りました。
この子を先にお願いします」
カンナはわしの姿をまじまじと見て驚いていた。
まさかこんな爺さんだとは思わなかったのだろう。
「お義母さん、この人とセックスするの? こんなお爺さんと? 
どうしてもしなきゃ駄目ですか」
 


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