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たねびとの歌
【ファンタジー 官能小説】

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お屋敷にて-1

わしは杖をつくのはやめた。
あの川原の二人が杖をついた爺さんにしてもらったと言いふらせば、すぐに見つかってしまうからだ。
その代わり自転車に乗ってできるだけ遠出をするようにした。
そして服装もそのときとは違うものを着るようにした。
ある日のこと、そうして用心しておいてよかったと思うことに出くわした。
あのときのわしと同じような服装の爺さんが杖をついて歩いているのとすれ違ったんだ。
わしはなんとなく自転車を止めて、その爺さんの後姿をぼんやり見ていた。
確かに足腰も衰えて足元がふらふらしていた。
あれなら間違えられることはないだろうとわしは思い、自転車に乗ろうとしていた。
すると道の脇から7・8人の娘っ子どもが飛び出して、爺さんを襲ったんだ。
100m以上も離れていたから詳しくは見えなかったが、爺さんは引き倒されてズボンを脱がされ手足を抑えられて、悲鳴を上げているところだった。
わしはその後は見ないで一目散に遠ざかったよ。
わしは町のファーストフード店に入ってコーラとホットドッグを頼んで食べた。
店の外にスーツを着た男たちが何人かいて店の中を覗いている。
サラリーマンという奴じゃないと直感した。かといってやくざもんでもない。
その中間?と言った感じだった。
わしがテーブルから立ち上がって店を出ると入れ違いに男達が入って来て、わしのいたテーブルの方に座った。
わしはなんとなく店の外から振り返ると、わしの食べた食器をさげようとする店員に何か言って、それをやめさせようとしていたのを見た。
そして白いハンカチでわしの飲んだグラスを包むと、店員にお金らしきものを渡している。
もしかして男達は警察の人間かもしれないと思った。
わしの指紋でも調べるのだろうと。

だがその後警察から何か言ってきたことはなかった。
ある日また、わしは街中をのんびりと自転車に乗っていた。
すると後ろから何かが近づいて来た。車だ。
コン……と自転車の後部が当たり、わしはよろけた。だが倒れなかった。
「すみません! ご老人、大丈夫ですか?」
助手席から素早く降りて来て声をかけたのはまだ若い女性だった。
娘っ子と言わずに女性と言ったのは、若いのになんとなく威厳のある感じだったからだ。
白いブラウスに黒いスカートを履いていて、靴も黒のエナメルを履いていた。
髪は上にきちんとあげていて、折り目正しい感じだった。
わしは車のことなどわからんが、随分立派な車だし、運転していたのは雇われた運転手のような感じだった。
わしは首を振って笑ってみせた。
「全く問題ないですよ。気にしないでください」
そうやって立ち去ろうとすると、その女性は前に廻ってハンドルを掴んだ。
「いけません。後で後遺症が出る場合もあります。病院に行って検査してもらいます」
「本当に大丈夫だってば、その車殆ど徐行していたし、当たった瞬間停まったから、なんの衝撃も感じていないんだ」
「いけません。私のご主人様が是非そうして頂く様にと強く望んでますので、自転車から降りて車に乗ってください」
なんとも強引な話だった。そのとき女性は何か手で合図をしたようだった。
すると車から男達が出て来て、二人がわしを両脇から抱えて車の方に運んだ。
一人はわしの自転車を担いでそれも車に乗せる。
正面から見たとき気づかなかったが、彼らの車は列車の車両のように長い車だった。
それからのことはとにかく何がなんだかわからなかった。
病院に連れて行かれると受け付けも何もせずに特別室のようなところに連れて行かれ、血液検査だと言って血を取られ、おまけに尿検査までされた。おまけにMRなんとかというので体の中のすみずみまで撮影された。
それが済むとまた車に乗せられ何かのビルに入った。
そこで何人かの女性スタッフが待ち構えていて、服を脱がされ入浴させられた。
彼女らは入念にわしの体の隅々まで洗うと、体にクリームのような物を塗って、マッサージをし出した。
もちろん、きれいな女たちがよってたかってやってくれるのだから、体を洗ってもらっている時からわしの一物は怒張しっ放しだが、彼女らはそれには目もくれず、自分達の仕事に没頭していた。
男の性器が勃起しているところなど珍しいだろうに、動揺もせずに仕事を続けている姿に職業人の根性みたいなものを感じて感心したもんだ。
それからわしは、髪もきちんとカットされて、ヒゲもそられた。
それに足の脛の毛まで脱毛されたんだが、何故か文句を言えなかった。
それから、新しい下着を着せられ、例の女性が付き添って服を選んでわしに着せた。
帽子や靴まで全部新しくされた後、香水までかけられて、また車に乗せられると、なんか御殿みたいなお屋敷に連れて来られた。
巨大なシャンデリアの下がっている高い天井の広間に連れて来られると、例の女性がわしに言った。
「ご主人様です。ご挨拶をしてください」
 


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