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王様じゃんけん
【幼馴染 官能小説】

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王様じゃんけん-5

「つまりアレか? …………夏樹は男としては俺が好きだけど、女としてはユイが好き」
「です」
「んで、ユイは女としては夏樹が好きだけど、男としては…… その…… 俺が好き?」
「ですです」
「でもっ ユイは別に男としての俺と付き合いたいとか言うわけじゃないんだよな?」
「当たり前です! 男と付き合うだなんて汚らわしい!」
「け、汚らわしいっておまえ…………」

私はユイと隆の言葉を黙って聞いていた。

自分の事なのに、二つも年下のユイに任せっきりなのは情けないとも思うが、
どうにも私が言葉を挟むと、それこそ深みにはまりそうな気がしてならない。

「で? ユイは夏樹と付き合いたいのか?」
「それは少し違います…… 所轄、女同士ですから………… 付き合うとかいう言葉には当てはまりません」
「じゃぁ夏樹は? 夏樹はユイと付き合いたいと思ってるの?」
「えっ? わ、私? 私も…… 付き合うとかいう言葉は…… ちょっと違うかな…………」
「ふむ…………」

深刻な顔のまま、その場で大きく息を吐く隆。

それにしてもユイといい隆といい、どうしてこうも落ち着いていられるのだろうか。
私はひとり、こんなにも心臓がバクバク言って止まらないのに…………

「ここでひとつ目の問題は隆、あなたがユイを好きかどうかと言う事です」
「へ? なんでそれが問題?」
「だって、もしも隆がユイに思いを寄せていれば、それは見事な三角関係じゃないですか?」
「あぁ…… 確かにそれだと見事なまでに抜け出せない三角が出来上がるなぁ…………」

とんでもない質問をサラリと投げかけるユイ。

その言葉通り、これで隆がユイを好きだなんて言ったら、
私たちの関係はそれこそ泥沼、這い上がる術は見あたらない。

「好きだよ? あたりまえじゃん?」

私の心配をよそに、間髪入れずそう答える隆。
私のもやもやはいっそう膨れ上がり、今にも隆に食ってかかりそうになるも、
身から出た錆とばかりに唇を噛みしめては、じっと俯く事しか出来なかった。

「それは男女の仲としてユイと付き合いたいという意味ですか?」
「ちげぇよ? だって俺らはとっくに終わっているだろ?」
「安心しました…… よもや隆がまだユイの身体を狙っているのかと…………」
「ばっ…… 俺には夏樹がいるし夏樹さえいれば他は眼中ねぇんだよっ!」

ユイと隆の言葉が、耳の奥で小さく鳴り響く。
当事者は私の筈なのに、何故か置いてけぼり感が半端無い。

「じゃぁ姉様? ここからが本題ですよ?」
「ふえっ? な、なにかな?」
「姉様はいったいどうしたいのですか?」
「そうだな…… 全ては夏樹がどうしたいかで話は変わってくるもんな…………」

そう言ってユイと隆が私を見つめる。

どうしたいかなんて…… それがわかれば苦労なんてしない。
私は隆もユイも同じくらい好きなわけで、
どちらを選ぶ事も出来ないからこうして悩んでいるわけで…………


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