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秘密の青い鳥
【その他 官能小説】

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秘密の青い鳥-1

 壇上で話す彼女を見た時、とても綺麗な女性(ヒト)だと思った。

 話す時の仕草、説得力のある視線、良く通る声、長めのタイトスカートから伸びるしなやかな脚。
 歳は30代後半から40代前半。
 もうすぐ30歳になる僕から見ると、溢れる大人の雰囲気がとても魅力的に感じた。

○○大学教授 正木 塔子(マサキ トウコ)

 学会のパンフレットを見たらそう書いてあった。

 彼女の発表が終わるのを待って舞台裏に移動して待ち伏せていると、何と彼女から声をかけてきた。

「待たせたな、さあ行こう」

「え?」

 戸惑う僕を無視して、彼女は腕を絡めて引っ張って行く。

「あ、あの……」

「すまん。少し付き合ってくれ」

 小さい声でそう言った彼女は親指で後ろを指した。
 少し振り向いて見ると、何人かの偉い学者や有名な教授がこちらを見ている。

「まとわりついてきてな……うんざりしてるんだ」

「……成る程……」

 納得して引かれるままについていくと、彼女は外に出てタクシーに乗り込んだ。

「グランドホテルへ」

 行き先を伝えた彼女は、ふぅっと息を吐いて座席にもたれる。

「いいんですか?」

 偉い人達とのお付き合いも教授稼業には必要なのでは?

「昨夜、散々相手してやったんだ。構わんだろう」

「はぁ……そうですか……」

 こんなに若くして教授に登りつめた理由が何となく分かった。

「どうせ相手するなら若くて打算が無い方が楽しめる……どうだ?私の部屋に来ないか?」

 別にそんなつもりでついて来た訳ではないが、据え膳食わねば男の恥。

「僕で良ければ、喜んで」

 快く承諾すると彼女は僕の太股に手を置いて、クスクス笑った。


 部屋に着いてドアが閉まった途端、彼女は僕の首に腕を回して唇を重ねてきた。
 唇が触れた瞬間、背筋に電流が走り一気に感情が高まる。
 ムードもへったくれもないし、まだ2、3言しか言葉を交わしてない相手なのに愛しい、という感情が溢れる。

 ああ、これが運命の出会いってやつか。

 余裕も無いぐらいに興奮しているのに、頭の隅の冷静な部分でそう考えてしまった。
 それは、彼女も感じたようで薄く開いた目が戸惑いと欲情の色に染まっている。


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