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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 2[The start in new life]-27

 その日大草原に集った面々はそれぞれの国に帰還した。
 夜空とは対称に各々が不安と悩みを抱きながら。
 ただリザルト自身は既に答えが出ていた。
 横目で彼の前を見つめる表情を見ればそれを容易に理解できた。
 それはそれで何も問題はなかった。
 ただ、ノヴァ自身が答えを出すためにはもう少し決定材料が欲しかった。

「ねぇリザルト、あいつらの言う事信用するの?」

「ああ、あのデュオという男、かなりの兵だ。
 そして全てを見透かすような目。
 奴の話が事実かそうでないかは問題ではない。
 奴の強さは事実だ。それだけで十分だ、俺は乗る。」

 予想通りだった。
 ノヴァは重い溜息をついた。
 それ以上の判断材料はやはり貰えない。
 そしてその溜息は、リザルトの草原を踏みしめる力強い音によって掻き消されてしまう。
 
「…嘘だったらどうするのさ。」

「奴等の強さ、そして奴等の部下というこの世界を恐怖に陥れたあのシーフの強さ。
 それらを考えれば、過去はこの世界より遥かに実力者がいるのだろう。
 俺もそこへ行って更なる力を得たい。
 もし嘘であれば力を得た時、奴等を殺すだけだ。」

 彼は真直ぐと前を見て歩いている。
 一方彼女の歩は止まっていた。
 そして傷が完治していない彼の後ろ姿をそっと見つめる。

(そんな体じゃ殺されに行くようなもんでしょうが…。
 あーっ、もうっ! やっぱりリザルトには逆らえないなぁ…。)

 迷いなく前を進む彼に追いつくため走り出した。
 そして彼女の決意した足は、彼の横をいつもよりは距離を狭めて歩いていた。
 

「ドラゴンロードってさぁ、神話だと確か英雄かなんかに倒されるんだよね?
 なんでそれが生きてるのさ。」

「姉さん、そんなこと考えても仕方ないじゃない。
 それにわたしはあの人達は嘘はついていないと思うよ。
 ただあのアランさんのお兄さんって言う点。
 それが本当だとあのアランさんも過去の人ということでしょ。
 なんか不思議…。」

 帰還するイルス軍の後方で二人並んで歩いていた。
 自分達が直接手を下したわけではないが、勝ち戦気取りでいるイルス軍。
 けたたましくはあるが、とても陽気な笑い声が闇夜を包む。
 規制などする必要はない。
 そうやって笑えることが普通のことだ。
 それが何よりも今は安堵できる。
 彼等を見てシューナも両手をぐっと前に突き出し伸びをする。

「まぁ実際行けばわかるわよ。
 お父さんに話して、他国と停戦結んでもらえばわたしたちも暇になるし。
 今一番国力があるのはわたしたちだからね〜、他国がこの話をはねのけることはないでしょ。」

「姉さんっ! 少し不謹慎だよ、ジャイファンもバイサスも被害大きいみたいなんだし!」

 アンジェリーナの不安に思っている気持ちに火が注がれる。
 真面目という言葉が当てはまりすぎる彼女の剣幕に焦った。
 少しだけ小さくなり、彼女には決して揶揄しているわけではないことを両手を合わせて伝える。
 もちろんそうしなくても彼女にはわかってはいるが。

「ごめんごめん。でもアランって人。
 あの人どこかわたしたちの兄さんに似てた…。」

「そうだね。」

 シューナは足を止めた。
 視界はイルス軍をかなり小さく捉えている。
 それに倣い立ち止まるアンジェリーナは、先程とは打って変わる姉の真剣な面持ちを見た。

「ねぇアンジェ…。
 わたしさ、兄さん死んでからバイサス嫌いになった。
 たぶんこれからも兄さんを殺したバイサスは憎み続ける。」

 姉さん…、と不安げにアンジェリーナは呟く。
 シューナはそんな彼女に濁りはない瞳を見せる。

「わかってる。
 わたしがバイサスの人を殺して、そしてその遺された人もわたしたちみたいな思いしてることは。
 戦争だから仕方ないってことじゃないことも。
 でもあのアランって人、優しかった兄さんにはない強さがあった。
 兄さんにも強さがあれば死ぬ事はなかったかもしれない。
 そして開戦を防ぐことができたかもしれない。
 今こんな話しても仕方ないけどさ…。
 けどだからこそ、そんな人に国を守ってもらいたいな。
 だからわたしは過去に行く。
 アランって人は絶対行くと思うから。
 アンジェ…、あんたわたしよりしっかりしてるんだから」

「嫌よ! わたしも過去に行くもの。」

 彼女は先程の怒りを含む剣幕とは異なるものを見せてきた。
 妹の懇願を示す必死の形相を前に、笑みを浮かべながら両手で頬を抓ってやった。

「違う違う、そうじゃなくって。
 だからアンジェも強くなろうねってこと。
 わたしがついてるからさ。」

 抓る指は弧を描く。
 抵抗しようとする彼女の手を見つけると、すぐさま指を解放してやり笑いながら逃げた。
 すると、彼女の不貞腐れている顔が必死に追いかけてくる。
 眩い月明かりが新たな地へと彼女達の決意を誘っていた。


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