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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 1[Life and death]-29

「アルフォンスさんっ!」

 ピノの最期を看取ったアランがアルフォンスの傍へ駆け寄る。
 あの刹那、彼は自分の体を支えきれなくなり後ろへ崩れたおかげで、
 絶命を回避しなんとか命の糸は繋がれている。
 だが、いつその糸が切れてしまうかわからない。
 彼の様子を確認していたアランの背に、リザルトの剣が襲い掛かろうとしている。
 今のアランの瞳にはリザルトの姿は入り込む余地はなかった。
 レクサスは遠目でリザルトがアランに近づいたのを見て、
 彼が放つ一本の矢はリザルトの目の前を走り、
 リザルトの注意をレクサスに引き付けることに成功した。

「アラン!」

「レクサス、アルフォンスさんの手当てを!」
 
 駆けつけたレクサスにアランは言う。
 アランの傍に横たわっているアルフォンスの姿を見たレクサスは、
 瞬時に状況を理解し彼を抱きかかえる。
 リザルトを睨みながら、レクサスは今来た方へと駆け出す。
 この容態では、一分一秒を争う。
 ゆえに彼はリザルトをただただ睨むことしかできなかった。

「ピノも…、アルフォンスさんも…。
 おまえ…、おまえぇぇええ!!」

 アランの中で何かが弾けた。
 リザルトへ向け怒りをあらわにしながら、剣を構え走る。
 リザルトもそれに応じ構え直す。
 憎悪の念に満ち溢れた男と、アランの仲間を傷つけた冷徹な男との戦いが始まる。
 その二人の場所だけが、ほかの世界とは切り離されたようだった。
 アランにはもう、誰かの断末魔の叫び声も耳に入ることはなかった。
 降りしきる雪も彼等の傍に近づく事を躊躇っている。



 レクサスは先程のアラン達の場所がやや中央寄りであったので、本営を目指すことにした。
 アルフォンスの容態を察したレクサスは、ただひたすらに本営へ向かっている。 
 
(あそこに行けばリーフもいる、きっとまだ間に合う!)

 彼もまたアランと同じく、アルフォンスを本営に運ぶこと以外の思考は無くなっている。
 途中流れ矢が彼の顔をかすめるが、それに気がつく余裕すらない。
 幸いなことに、今ジャイファン軍は徐々に進攻しているため、
 彼は幾分か早くリーフの姿を確認することができた。

「リーフ! こっちを頼む!」
 
 リーフの下へなだれ込み、彼女の保護を受けていたストリームブリンガーの男は、
 状況を察し別のプリーストの下へ駆け出す。
 レクサスが運び込んだ男が誰なのか認識し、沸々と表れた怒りの表情と共に。
 リーフはすかさず治癒魔法を詠唱する。
 しかしそれを見たアルフォンスは、死期を既に悟っている優しい笑顔を横に一度振らせ彼女を制した。

「リーフ、いいから続けろ!」
 
 レクサスは視線をアルフォンスに向けたまま、リーフに怒鳴る。
 ただしリーフはアルフォンスの制止に首をふるふると振りながら、依然として詠唱を続けていた。
 首を振る彼女の目から、涙がふわっと舞った。
 
「おー、怖い。レクサス、お前泣いてない、じゃん」

 アルフォンスの口からかはっと少量の血が吐き出される。

「あの時、泣いたから。もう、泣かない。」

「そうか、強く、なったな。」

 アルフォンスは笑顔で言った。
 しかし、突然表情が真顔になる。
 レクサスは戦闘中以外で真顔になった彼を初めて見た。
 彼は自分の弓をレクサスの方へ投げ出す。

「お前に、やるよ。あとはその力、何に使うか、考えろ。」

 レクサスは放られた弓を取り、確かに受け取ったと、力強く頷く。

「行け、アラン、助けてやれ。」

 アルフォンスはまた笑顔に戻っていた。
 レクサスは彼の戻った笑顔を背中で見つめ、再び力強く頷き、アランの下へ向かって駆け出す。
 レクサスは泣かなかった。
 ただ、一粒の涙だけが静かに頬を伝い、駆け出した時にそっと頬から離れていった。


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